健康アラカルト(106)室温と健康

2021年 3月 1日
院長 大石 孝

寒かった冬もそろそろ終わり、もうすぐ春到来、雪とともにコロナは消えてほしいと願うのみ・・。
 さて、室温が健康に大きな影響を及ぼすことはご存じか? 冬に死亡率が上昇することは周知の事実であるが、では北海道や東北地方が最も死亡増加率が高いかというと、実は温暖な地域でも冬の死亡増加率が上昇する。ヨーロッパではフィンランドよりポルトガルの方が、日本では栃木や愛媛、鹿児島、静岡等の方が冬の死亡率が上昇しやすい。原因は家の寒さにあるという。

WHOの住宅と健康に関するガイドラインによると、冬の最低室温は18℃が望ましいとされる。居間の室温が18℃未満の人は、18℃以上の人に比べ高血圧の発症率は6.7倍も高い。室温が10℃下がると血圧は10上がる。足元が寒い人はそうでない人に比べ、1.5倍も高血圧になりやすい。室温12℃未満の家では夜間尿のリスクが1.6倍高まる。寒い家の人は温かい家の人に比べ、寝付きが悪かったり中途覚醒する確率は2倍以上になる。

150人の脳MRIを調べたところ、寒い家に住む人は暖かい家に住む人に比べ、脳神経の質が低下することが分かった。室温が5℃高いと、脳神経は10歳も若くなる。暖かい家にいると動きやすくなり、動くことで筋力が鍛えられ、かつ、脳も活発になる。暖かい家にいると、血圧も下がり、よく眠れ、脳が活性化するということだ。

では、室内を暖かくするにはどうしたら良いか?
 暖房器具で温めることも必要だが、一番のポイントは窓にある。室内の熱の6割は窓から逃げてゆく。窓を複層ガラスにしたり、2重にすると格段に家の中が暖かくなる。床暖房があれば言うことはない。適度な加湿も必要である。

室温の大切さが分かったところで、ちょいとお粗末、健康川柳を2つ3つ。

「欠かせない 加温・加湿に はい! マスク」  コロナ嫌い
「身体に(わる)! 強い奥さん 寒い家」      詠み人知らず
「健康は (あった)かお(うち)と ユーモアで 」      オトボケ老人
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