2021年 9月 1日
院長 大石 孝
昨年初頭以来もう1年半以上経つが、寄せては返す波のごとく一向に新型コロナの流行が止まらない。いい加減収まってほしいものである。しかし、これまでの経験を経てある程度その正体は分かってきた。中国の武漢やダイヤモンドプリンセス号及びアメリカ空母のクラスターの検討より、新型コロナに感染すると、PCR陽性者の半数は無症状のまま、3割は有症状、2割は中等症以上、1~2%が死に至ることが分かった。年代別の重症化・死亡リスクは高齢になるにつれ上昇するが、一方、インフルエンザと違い、20才未満は重症化・死亡リスクがほぼ0といってよい。そして、ワクチン接種のお陰で高齢者はかなり守られてきた。
当初、主な感染経路は接触感染といわれたが、現在は空気感染(飛沫・飛沫核・エアロゾル感染の総称)であることが分かってきた。したがって、ドアノブ、電車のつり革、机、品物、便座等の表面からの感染リスクは低く、パーティションやフェイスガード、手指消毒を徹底するより、換気をしっかりすることの方が重要である。通勤電車、通勤バス、新幹線、飛行機でクラスターがほぼ起こっていないのは、常に換気されている状況で乗客が全員マスクして大声でしゃべっていないからである。感染を拡大させるケースは、主に換気の悪い空間や人が大勢集まる空間で起きている。やはり最も大切なことは、3密(密閉、密集、密接)の回避と換気、正しいマスクの着用である。ウイルスはアルコールや石けんで死ぬので手洗いは必要だが、ウイルスを0にする必要はなく、流水で洗うだけでも十分である。ウイルスを数十個吸い込んだからといって感染することはない。ヨード液や緑茶はウイルスを不活化させるため、イソジン液や緑茶によるうがいは有効である。目に見えないウイルスとの戦いはまだ当分続くであろうが、敵の性質を理解し、対処してゆくことが肝要である。
換気を上回るものなしということが分かり、感極まった? ところで、謎かけを一題。コロナ対策と掛けて、ベートーヴェン交響曲第9番と解く、その心は・・
やっぱりカンキ!(換気?、歓喜?)でしょう。
