健康アラカルト(119) 幸齢者になるために

2023年5月1日
院長 大石 孝

前回の「70才の正解」に引き続き、今回は、「80才の壁」という和田秀樹氏の本の内容を紹介しよう。
心身共に自立していられる年齢を健康寿命といい、男性は72才、女性は75才とされ、それ以降は誰かの助けが必要になる。幸せな人生とは、本人の主観によるので、老いてあれが出来ない、これも出来なくなったと嘆くのか、まだこれが出来る、あれもやれると考えるかで変わってくる。80才を超えた人は、これから幸齢者こうれいしゃと呼ぼう。

 がんも認知症も一種の老化現象であるので、ジタバタしない。年をとれば、どこかの細胞ががん化する。いずれ認知症になると思えば、今のうちに好きなことをどんどんして、楽しく生きる方が前頭葉が刺激され、かえって認知症に罹る時期を遅らすことができる。健康に悪いと、食べたいものを我慢したり、好きなタバコやお酒を止めたり、もう年だからとやりたいことを我慢したりするのは止めた方がいい。太陽の光を浴びて歩くと、幸せホルモンとも言われるセロトニンが分泌され、心身が安定し、頭の働きがよくなる。
 薬も検査も必要最小限にした方がいい。血圧、血糖、コレステロールも下げ過ぎると、かえってボケるし、免疫も低下し、がんや感染症になりやすくなる。男性ホルモンの材料でもあるコレステロールを下げ過ぎると、元気や意欲も低下する。日本人の高齢者においては、血圧、血糖、コレステロールを厳格にコントロールした方が長生きするというエビデンスはなく、60代までの治療とは違う考え方をした方がよい。80代になったら、老いや衰えを受け入れ、まだ残っている機能で勝負することが大切である。

ここで、長屋の爺さん達の会話を1つ。
文雄じぃ「お~い、今度広島でG7があるぞ~」
ご隠居 「じゃぁ、わしらも長屋でG7やるぞ~」
八つぁん「えっ?」 
熊さん 「なるへそ、爺さんが7人集まれゃ、確かにじー7になるな!」