2024月1月1日
院長 大石 孝
再び、長屋から・・・。
熊さん 「どうした、八っつぁん。ご機嫌だね。」
八っつぁん「いゃね、今日は棟梁に江戸前の寿司をゴチになって、満腹なんでさぁ。」
熊 「そりゃ、豪勢だな。」
八 「なんてったって、にぎりについている緑色の練り物が鼻にツーンときて、たまんねぇ~。」
熊 「そりゃ、ワサビってやつだな。八公におカメってとこかな?」
八 「何で俺のカカァが出てくる?」
熊 「なくてはならないものってこと。」
八 「何で俺のカカァがなくてはならねぇんだ。冗談じゃねぇ。俺の前ではいつもツンツンしやがって、もしかしていつもワサビを食べてんのかな?それで、ツーンとしてたりして・・。」
熊 「あほなことばっか言うな。やっぱり、猫に小判だな、こりゃ」
八 「なんだと~!。」
ご隠居 「まあまあ、そこまで。そうじゃな、ワサビは“山葵”と書くが、元々日本にあったもので、飛鳥時代にはすでにその文字がある。昔は薬草として使われてたんじゃ。」
熊 「さすがご隠居!何でもご存じで・・。」
隠居 「まあ、徳川の世になってからじゃな、わしらの口に入るようになったのは。」
熊 「なんてったって、蕎麦、てんぷら、うなぎ、握り寿司っていゃ~、江戸の食い物の四代名物で、蕎麦と寿司にはワサビはつきものっすよね。なんでも、生ものにはいいらしいぞ。」
石庵 「ワサビには、ミネラルやビタミンが含まれ、辛味成分には、殺菌・抗菌作用があるし、認知症の予防効果もあるんじゃ。ワサビの香り成分には、血液の凝固を防いで、魚介類の生臭さを消す作用もあるんじゃ。」
隠居 「ただし、そういう効果は本ワサビじゃなけゃ、ダメなんじゃ。それからな、辛味と香りを十分に引き出すには、目の細かいおろし器を使って、優しくゆっくりと円を描くようにすりおろすといいんじゃ。すりおろしたワサビは、小半時(30分)もすれば辛みと香りが飛んじまうので、おろしたてで食べるのが一番じゃぞ。」
熊 「そんなんだ!フムフム・・・、いいこと思いついた。すったワサビをいくつかの山に見立てて・・。どうだ!これこそが本物のワサビで描く“わ(び)さびの世界”・・・まるで枯山水のようだろ!今度、正月の長屋文化祭に出展しよう!」
八 「あほらし・・」