2024月3月1日
院長 大石 孝
医師「Aさん、今日も体重増え気味ですね。甘いもの、食べてませんか?」
A「そうなんですよ。分っちゃいるけど、止められないんですよ。」
・・・よくある診察室での会話。
人間の体は飢餓に備えてエネルギーを蓄えるようにできている。人間の食欲を促すグレリンというホルモンは、胃腸内の状態、食物の臭い等に反応して、脳に働きかけて摂食行動をとらせる。一方、食欲にストップをかけるコレシストキニンやレプチンというホルモンもあり、それらは脳に働きかけて満腹感を伝え、食欲を抑制するのである。ただし、脳の受容体が正常に機能しないと、せっかくの抑止させるホルモンの情報が伝わらないことになる。
現在、糖尿病薬の1つ、GLP1作動薬が体重を減らすというデータがでて、話題になっている。インスリン分泌を促進し、血糖を下げ、かつ食欲低下を起こし、結果として痩せるというものである。この成分で作られた薬が抗肥満薬として市場に出てきた。ただし、止めたら戻るし、副作用もあるので、単純なダイエット目的で使用するのは問題がある。
では、一体どうやって痩せたら良いのか?基本は、できることから始めて継続することである。ゆっくり食事をする、規則正しく食事をとる、腹八分目にする、食品の栄養成分表示をチェックして、脂質、糖質の少ない商品を選ぶ、飲酒量を減らす・・・等々。筋肉を保ちながら効率的に痩せるためにも、運動をして身体活動量を増やすことが大切である。
最後に、「光る君へ」の主人公の紫式部さんに聞いて見ると・・、
「私達の頃は、そもそも食べ物が豊富でないので、太れませんよ。今の殿方はうらやましい。おほほほ・・。」
ついでに、現代への一首もお願いした。
「太るもと 分っちゃいるけど止められない 裏金作りと同じこと」