健康アラカルト(21) ピロリの話

2006年11月1日
院長 大石 孝

今回はピロリの話。

人の名前ではなく、野菜の名前でもなく(それはパセリ)、 枕でもなく(それはピロー)、擬態語でもなく(それはポロリ)、胃に住みつい ている細菌の名前である。正確には、ヘリコバクター・ピロリ菌という。皮膚を も溶かすほどの強酸性の環境である胃の中で、しぶとく生きて胃炎を引き起こす 強者である。胃十二指腸潰瘍にも関係し、潰瘍を再発させる原因の1つで、さらに、ピロリ菌により胃炎が進むと、胃がんを発生させ易くするとも言われている。

我国では、成人の7割にピロリ菌がいると推定されている。こんなやっかい な細菌が胃の中にいたら、あなたならどうする。しかし、ピロリ菌に感染して も、実際には胃炎から胃がんになるのは極一部であり、あまり神経質になる必要 はない。ピロリ菌を治療した方がよいのは、現時点では、胃十二指腸潰瘍のある 人と、胃炎の進んだ人だけと考えて下さい。

ピロリがいてもケロリとすること。