健康アラカルト(23) 医療崩壊

2007年 5月1日
院長 大石 孝

今回はちょっと深刻な話。

今、各地の病院で小児科や産科を中心に外来や病棟が閉鎖される事態が起こっている。
これを医療崩壊と言う。なぜか?

実は、以前から潜行していたことが、一気に表面化しただけなのだ。当直翌日も通常勤務が当たり前で労働基準法が全く守られず、求められるものがより高度で間違いの許されない医療になったため、同じ病気の治療をする際も医師の時間的肉体的負担は何倍にもなる、にもかかわらず緻密高度になった医療に対する診療報酬は抑制されるばかりで、一旦結果が悪いとあっという間に悪者にされる。これでは我慢の限界を越えてしまう。

医師はやれる範囲内で全力を尽くす、が、医療というのは、不確実で予知できない部分があるということを理解してほしい。同じ薬を同じ量使っても、人によって正反対の結果を生じることがあり得る。

ほー、ほうかい、なんて言っている場合ではない。

これを機会に医療の危機的状況を少しでもご理解願えれば幸いである。