健康アラカルト(76)肝炎の新治療薬は朗報か?

2016年 3月 1日
院長 大石 孝

C型肝炎は、国内に200万人いるとされ、慢性肝炎から肝硬変、そして、肝臓癌になる。
そこで、C型肝炎ウイルスを除去すべく、1990年代にインターフェロンという注射を使った治療が始まり、2000年代になると経口薬を併用する方法が加わり、一定の成果を上げてきたが、ウイルスのタイプによっては有効率が低く、また、強い副作用のため、中断せざる得ないことが少なからず生じていた。ところが、昨年より、注射を使わず副作用も少なく、どんなタイプでもほぼ100%治癒が望める経口薬が出てきた。C型肝炎の患者には、朗報と言える。

ただ、医療費という観点からはちょっと問題がある。新薬の価格は1錠8万円で、3か月間で約700万円の治療費がかかる。この治療は保険医療の対象で、国の助成制度もあるが、高額な治療費がかかるものを保険医療の対象にすると、保険財政にしわ寄せがくる。抗がん剤などもその1つである。ここがジレンマである。限られた保険財政の中で、どの分野にどれだけお金を使うか、大所高所から判断し、薬価も治療対象も決定する必要があるが、現実は、どうであろうか? C型肝炎の場合でも、医療の現場では、肝硬変でも、肝臓癌の既往があっても、年齢制限もなく、無制限に行われつつある。本来の癌化の予防という点からすると、もう少し治療対象を絞るべきと思うのだが・・・。

この問題に限らず、国民皆保険が崩壊しないうちに、医療費の適正な使い方を再検討すべきと思うが、アベソーリはどう思う?
アベソーリ「ちょっと、ヤ(ア)ベェ。コメント短くてソーリ―。」

では最後に、百人一首で有名な山部(やまべの)アカン(ひと)さん?に1首詠んでもらいました。
「新薬の 価格を見れば 白妙(しろたえ)の 富士の高嶺(たかね)(高値)に おったまげつつ」・・・
こりゃ、アカン!

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