健康アラカルト(82)千葉の特産、醤油の話

2017年 3月 1日
院長 大石 孝

今回は、千葉の特産でもある醤油の話。ルーツは中国で、奈良時代に醤油の原型となるヒシオ(醤)という発酵食品が文献に登場する。その後、鎌倉時代に中国から味噌が伝わり、味噌から浸み出す汁が醤油のもと(たまり醤油)となり、16世紀から紀州で作られ始めた。江戸初期までは、関西が主要な醤油(薄口)の生産地だったが、江戸中期になると、関東平野で採れる大豆、小麦、行徳の塩、発達した江戸川、利根川水運等の諸条件に合致した野田や銚子が醤油(濃口)の一大拠点となり、当時100万都市と言われていた江戸に供給するようになった。この頃、醤油をベースにした食文化も発達し、江戸前鮨、そば、天ぷら、鰻の蒲焼などの料理は、すべて江戸時代に誕生した。

銚子の醤油と言えば、ヤマサとヒゲタがあり、ともに17世紀初期に始まった。野田の醤油は、17世紀半ばに誕生し、大正時代にその銘柄をキッコーマンに統一した。この3つの銘柄は、関東の3印として知られるようになり、この3社を合わせた醤油生産量は、現在全国1位である。千葉県民としては胸を張りたいところだが、醤油は塩分が多く血圧に悪いというイメージが・・・。

醤油は、大豆、小麦、塩を原料とし、麹菌、乳酸菌、酵母等で発酵させて作られる。本醸造もしくは天然醸造といった時間をかけて作った本物の醤油は、発酵食品であるため、味噌、酢等と同様、様々な生理活性物質を含み、抗酸化作用(赤ワインより強力)、降圧作用、食欲亢進作用、抗ガン作用、抗菌作用等を有する。美味しいと思える物は身体にも良い。えっえっ?醤油に降圧作用があるってどういうこと? 実は、昇圧物質を促進する酵素を阻害し、血圧を下げる作用もあるので、一方的に悪者にするのは良くない。なるほど、しょうゆ(・・・・)うことか!ただし、これらの効果があるのは本物だけで、脱脂加工大豆やアミノ酸液、防腐剤、添加物だらけの醤油(もどき)には、これらの効果は期待できないので、要注意。

さて、ここで、偶然耳にした外人と日本人の会話を1つ。

外人「ノダノショウユ工場ニイッテミタイネ」 日本人「OK. I’ll show you(・・・・・)!」

201702