健康アラカルト(86)超高齢社会の医療

2017年11月 1日
院長 大石 孝

現在、65才以上の高齢者の人口は3500万人(人口の4人に1人)、80才以上で1000万人、90才以上で200万人、100歳以上で6万人で、我国は、すでに超高齢社会となっている。その医療の現状は、寝たきり老人に延々と点滴をしたり、胃瘻を作って延命したり、90才の腎不全にも透析を導入したり・・等々。ちなみに、ヨーロッパでは、胃瘻患者や寝たきり老人は見かけない。口から食べられなくなったら、死に近づいていることであり、自然に死なせてあげることが正しいという価値観だからだ。日本では、あらゆる場面で、生かす方向で医療が進んでしまう。これは医療者だけの問題ではなく、家族が望んでしまうことも大きい。果たしてそれは、本人にとって本当に幸せなことなのだろうか?

戦後、感染症や外傷等の急性疾患が中心の時代は、「治す医療」が求められ、国民皆保険制度もうまく機能し、その結果、乳幼児、妊産婦の死亡率が激減し、平均寿命が劇的に延長することになった。しかし、慢性疾患中心で、超高齢社会になった現在においてもなお、「治す医療」が展開された結果、医療費の高騰や皆保険制度破綻の危機につながっている。これからは、「老いと死を受け入れる医療」も真剣に検討すべきではないだろうか?動脈硬化も、癌も、認知症も、ある意味すべて老化現象であって、不可逆的といってもよい。明確な年齢の基準を作ることは難しいが、苦痛を軽減することを主体にした医療に徐々に変えてゆくべきではないだろうか?

ここで、小噺1題。今日はお祭り。後ろ髪をアップして、うなじの綺麗なハッピ姿のお姉さんが通りかかりました。

「いよっ、お姉さん、粋(いき)だね!」
お姉さん「いいえ、帰り(・・よ。」

「・・・・?」
201711