2019年11月 1日
院長 大石 孝
日本人は薬が大好きな人が多い。高齢者が増え、そして高齢化するにつれ、病気は増える。高血圧、高脂血症、糖尿病、心臓病、便秘、胃炎、骨粗鬆症、不眠、頻尿等々・・。国民皆保険のお蔭で、簡単に幾つもの病院を受診でき、そこで薬をどっさりもらってくる。薬の数が10~20種類になっても、薬のお蔭で長生きできて、安心と思っている。
薬が増える原因は、高齢化の他にも、複数の医療機関に通院することで起きる重複投与や服薬の飲み忘れに起因する過量投与、副作用に起因する過剰投与等がある。生活習慣病については基準値がどんどん下げられており、その値まで下げようとすると、よりたくさんの薬が必要になる。特に高齢者は、病気の状態であることがある意味当たり前なのに、多くの専門医は、無理やり若い人と同じ基準まで正常化させようとしている。この考えを変えない限り、薬は増える一方になる。
ポリファーマシーという言葉をご存知だろうか? 必要以上に多剤服用している状態を指す。はっきりした定義はないが、一般に、6種類以上服薬していると、薬剤の相互作用の確率も増加し有害事象が増加する。特に、高齢者は、腎機能や肝機能が低下しており、同じ量でも副作用が出やすくなるので、沢山の薬を飲むことは、決して良いことではない。
基本的な考え方として、薬は異物であり、飲まないに越したことはないこと、服用しなければならない薬は、できるだけ必要最小限にするよう常に意識することである。医師側も、その患者さんの全体像を見て優先順位を付け、本人の希望も配慮し、どうしても必要なものに絞って薬を投与することが必要である。
では、笑い話を1題。
小太りの女性「私、薬大好きなの。」
友人「いくらなんでもその数は飲み過ぎじゃない?」
小太りの女性「いいのよ。このくらい飲まないと痩せないから・・・?。」
