コーヒータイム(10) 常識

2013年8月1日
アドバイザー 加藤 洋男

今年の夏は暑いという長期予報どおりで、7月から35度を超える猛暑日が続いた。

それにあわせて熱中症にかかる人も多く、連日救急車のサイレンが頻発しており、 メディアも水分補給や温度調整を訴えている。

思い起こすと私の年代が子供の頃、運動中の水飲みは御法度だった。 炎天下での喉の渇きは大変なもので、これが医学的見地に基づいたものか、単なる “がんばり精神”の育成か、しかとしないが、現在と全く逆であった。 とはいえ、熱中症で倒れる子供が殆どいなかったことは、今考えると不思議である。

過去の常識が現代では通用しないことは珍しくないが、最近少々ショックな記事に 接した。陽気で楽天的な人と、まじめで几帳面な人のどちらが長生きをするか、とい うテーマだ。

巷間言われていた長生きは前者で、私自身は前者の部類に入るのではと思い、よし よしという心境でいた。 ところが、アメリカの大学の研究で逆の結果が出たと発表された。 大正時代後半から、当時10歳前後だった子供約1500人について、5年から10年おきにインタビューして、生涯にわたってどのような人生を歩んでいるかを調べた。

その結果は圧倒的に「真面目派」が長生きしていたという。
後者は喫煙、深酒など健康リスクの行動を避け、健全な職場で満足した生活をしてい るのが、その理由という。一方前者は「これくらいなら大丈夫」と根拠のない楽天的 生活で不健康な生活習慣に陥りやすいことなどが理由という。 日本が世界的な長寿国である根っこに、勤勉な国民性にあるとのことである。 いずれの性格でも、医師や専門家の指示を確実に守るという、ごく当たり前のこと を、愚直に実行することが大切と思う。

因みに、同じ研究で結婚という観点からの分析では、妻に先立たれた男性はそのほ とんどが数年後に後を追ったが、女性は夫に先立たれても寿命に影響を与えないという結果だった。

この点は以前から言われていたことで、「常識」と合致している。

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