コーヒータイム(16) 蚊

2014年8月1日
アドバイザー 加藤 洋男

人間にとって最も恐ろしい生物は何か、といった記事に接した。

普通はライオンやサメあるいは人間を思い浮かべるが、何と最も人間を殺しているのは 小さな蚊だという。

サメにかまれて亡くなる人は年に10人ほどだが、蚊が年間72万人の死因になっているそうだ。これは1分に1人以上亡くなっている計算になる。

蚊が、マラリア、黄熱病、デング熱など伝染病の媒介者であるためで、地球の半分の地域で、この危機にさらされているという。

私たちは、これほどではないものの、特に夏になると蚊に悩まされることがある。 刺され易い血液型はO型で、刺されにくいのはA型といわれるが、これは根拠がないそうで、アルコールを飲んだ後の人のように、新陳代謝の激しい人が刺され易いことは科学的に証明されているようである。 蚊よけには渦巻状の蚊取り線香がお馴染みだが、最近は無煙・無臭のノーマットが 出来て、火を使わない点では安心だ。

蚊で想い起すのは蚊帳(かや)である。今の若い人たちは縁がないと思うが、私の 小さい頃は、どの家もこれを使っていた。もちろん空調はないので窓は開け放しだが、蚊帳は網目になっているものの目が細かいため、風を通しにくいので暑い。

おまけに、出入りする時には身を低くしないと蚊が入るが、それにお構いなしに立っているも同然に出入りするものだから、いつも親に叱られていた。

蚊帳の吊るしや片付けは子供の仕事としている家が多かった。長押(なげし)のフックに引っかけたり、外したり、その後たたんだりと、結構重いこともあいまってなかなか面倒だった。

現在は網戸や空調設備の普及で殆んど使われなくなったが、アフリカや東南アジアで は、伝染病に対する安価で効果的な防護策として注目され、日本から各国に配付されるとともに、現地に蚊帳製造工場を建設している国もあるという。

日本でも日本脳炎が蚊を媒体としているが、感染するリスクはない訳ではないので、注意するにこしたことはないと思う。

加えて、伝えたい言葉は「蚊のなくような声」でなく、はっきりとした明快な声で 話して、「蚊帳の外」に置かれないようにした方がよいのではないだろうか。

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