2015年2月1日
アドバイザー 加藤 洋男
2月の最も大きな行事は古来、節分だ。昔は出入口に柊(ひいらぎ)の枝に鰯の頭をくくり付けた邪気除けを飾って、「福は内、鬼は外」と福豆を撒いて、歳の数だけ豆を食べると厄除けになると言われた。
柊・鰯の飾りはあまり見なくなったが、最近は“恵方巻”なるものが認知されつつ
ある。この風習は関西地方で一部あったようだが、全国区になってきたのはコンビニの貢献が大のようで、のせられている感はあるが、いずれ豆撒きが恵方巻に席巻されてしまうのだろうか。
香川県が、年越しそばの向こうをはって、“年明けうどん”に力を入れているという。
「太く長い人生を」と長寿の縁起物にし、うどんに加えて“ほうとう”“きしめん”も巻き込んで、恵方巻やバレンタインデーのチョコレートのように季節の食文化として
全国に普及、定着させようと狙っているそうだ。おせちに飽きた人にはいいのかも知れない。
日本は宗教や神様などが共存している世界的には珍しい国だが、それに伴って季節
行事も外国から入ってきたものが、かなり普及している。
クリスマスはかなり昔から一般的で、バレンタインデーやホワイトデーも定着し、
最近ではハロウィーンが広まりつつある。楽しいことがたくさんあることはよいのかも知れないが、業界の浸透作戦には恐れ入る。
東京都の調査では、季節行事の食べる習慣で、増えているのは雑煮やおせち、年越しそば、クリスマスケーキ、節分の豆や恵方巻などで、減っているのが土用のうなぎ、
節句の柏餅や桜餅、冬至のかぼちゃ、彼岸のぼたもちやおはぎ、などだそうである。
うなぎは値が張るのと、あんこものが人気を落としているが、想像していたより増えているものが多くあり安堵した。減っているものも含めて、それぞれに由来があり、
世代を超えて伝えていきたいものである。
健康維持の中で、栄養は最も重要だそうだが、自分の体に適切なものを把握したうえで、季節行事の風流を楽しむ心のゆとりは、さらに健康の増進につながるのではないだろうか。