コーヒータイム(21) 楽

2015年6月1日
アドバイザー 加藤 洋男

5月連休に東京国際フォーラムで、ラ・フォル・ジュルネ(熱狂の日音楽祭)という、クラシック音楽のお祭りが行われた。毎年5月連休に3日間行われ、今年は第11回。
8カ所の会場で、朝9時から夜11時までプログラムが組まれている。
通常のコンサートより時間が短めで、低料金に設定されている。0歳児から参加できるプログラムもある。周辺のビル18カ所で無料ロビーコンサートが催されたり、広場には食べ物の店も出て、老若男女、クラシックファンでなくても文字どおりお祭り気分で楽しめるようになっている。今年は42万人の人出だった。
元々は、ナントというフランスの港町で始まったもので、ポルトガル、スペイン、ポーランド、ブラジルなどでも行われ、日本では東京の他、新潟・金沢・大津でも同時期に行われている。

どんな音楽も楽器は欠かせないが、大昔、「楽」の文字は病を治せる音や楽器を表し、「薬」の意味も兼ねていたという。後に多くの植物で治療ができることに気付いて「楽」の上に草かんむりをつけて「楽」と「薬」を使い分けるようになったという。 
音楽は人の心の健康をもたらす。つまり、心地よい音楽は「薬」ともなると私たちの祖先は知っていたのだろう。

「楽」はこの他、“楽しむ” “楽をする”などにも使う。
一見軽いイメージを抱くが、よく考えると、なかなか含蓄に富んでいて、人生や仕事において、そのいき方に大切な意味をもっていると思う。
人生や仕事では苦しいことや辛いことが多く、予期できない時に身にふりかかってくる。これらを乗り越えるのは所詮、自分でしかない訳で、いかに楽しくするかを自ら築くしかない。
また、精神的にも物理的にも、よい意味で楽をする方法を一生懸命考えることが道を拓き、あるいは改善につながることと思う。
楽しみながら、よい意味で楽をする方法を、鼻歌まじりで考えたらこの上ない人生になるかも知れない。

梅雨の季節は体調をくずしやすい人が多いようだが、早くカラッとしたお天気になり、夏の青々した草の景色に心身の疲れを楽にして、時を楽しみたいものだ。

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