2015年8月1日
アドバイザー 加藤 洋男
朝早く仕事を始め、早めに終わらせて夕方を楽しく活かす「ゆう活」を夏の生活
スタイルにしようと政府が進めている。7~8月に中央官庁が実施し、民間企業にも
呼びかけて国民運動を目指している。
朝の始業を1~2時間早めて、午後は4時か5時頃終業して、残業は出来るだけしないという内容で、夕焼け時に、「悠々とした時間が生まれる」「遊ぶ時間が増える」
「家族と過ごす時間が出来る」など、悠、優、友、遊・・と、よいことずくめのようにPRされている。
民間では既に大手商社を皮切りにかなりの企業が、夏だけでなく年間を通して朝型勤務を導入している。朝食を提供している企業もある。時間外勤務と残業代が減り、電力量も減ったとのことである。
意識や形を変えるだけで、早く帰るようになるということはあると思うが、仕事を減らすことや、仕事のやり方を新たな発想で変えて業務を効率化させるという本質的な問題に取り組まないと、効果が限定的か逆効果なることも考えられる。
夏の朝の有効活用という発想では「サマータイム」がある。標準時間を1時間進めるもので、世の中全体の時間が前倒しになる。欧米で始まったもので今でも行っている国が多くある。日本では占領下の1948年から51年まで実施された。
国民の食糧事情が悪い時代で、「夜が長いと腹が空いて眠れない」を始め、ゆとりをもって時間を過ごすどころでないと不評だったようで、3年で終わった。
2000年頃から再び導入の検討がされては消えている。日本列島は東西に長く日の出・日の入り時刻に差がある、日没後も蒸し暑いので自宅の冷房費がかかるなどの意見とともに、何でもコンピュータ制御されている世の中になり、その対応が複雑などの問題があるので簡単にはいかないようだ。
現役諸氏は「ワーク・ライフ・バランス(仕事と生活の調和)」の観点からも、仕事以外に使う時間の確保に取り組んで心身の健康作りに努めて欲しいが、現役卒業者は常にたくさんある時間の使い方がマンネリにならぬよう、いかに有効に、かつ変化を持たせて心身の鍛錬に使うかが大切と思う。
いずれも、その具体的方策を旧習にとらわれず、頭を使って考えることが肝要と思う。