2015年10月1日
アドバイザー 加藤 洋男
秋は唱歌『虫の声』の、「あれ松虫が鳴いている チンチロチンチロチンチロリン 秋の夜長を鳴きとおす・・・」のとおり、陽が昇ってから落ちるまでの時間が四季の中で一番短くなる、つまり夜の時間が一番長い季節で「秋の夜長」といわれる。
「秋の夜長に何をしたいか?」というある統計で、3位は読書にふける、2位はゆっくりと湯船につかる、1位はじっくりとお酒を味わう、だそうだ。2位、3位はよしとして、1位は“夜長を満喫”し過ぎるといささか具合が悪いことになる。
ここは健康的にスポーツの秋といきたい。10月は体育の日を中心に運動に最適な シーズンだが、最近、企業の運動会が復活しているという。業務のIT化や細分化などで薄れがちな社員同士のコミュニケーションを深める狙いだそうだ。以前はかなりの企業が活発に行っていたが、私生活重視や景気低迷などを受けて、いつの間にあまり聞かなくなった。
高度成長期の頃には運動会は全盛で、団結力の醸成、従業員間の融和などに加え、
企業によっては家族ぐるみで行い、福利厚生の一大イベントだった。都会の事業所は
“運動会屋”なる業者に一式をお任せして、参加者は会場に足を運ぶだけで比較的手間をかけずに行われたが、地方の事業所によっては、応援や競技などの準備を含め一切を自前で行うところもあった。大変な労力で片手間ではとても出来ない。準備担当の何人かは自分の仕事は横に置いて、業務時間中に運動会の準備に専心せざるを得ない。
しかし、担当外の人は仕事に頑張って、全体として生産活動には全く影響を及ぼさなかったという話がよくあった。“リストラ”などという言葉がない良き時代であった。
学校の運動会は、私たちの子供の頃は日曜日に行われ、家族と昼食を食べながら、
徒競争は足の速い遅いは関係なく背たけの順に出走し、激しい騎馬戦や棒倒しがあった。現在では、時期は10月よりむしろ5月の平日に多く行われ、昼食は子供だけ教室で食べ、能力差を考慮して徒競争は同レベル同士で走り、激しい競技は姿を消した。
時代が変わって形は変わっても、青空の下で元気に飛び回って、楽しい一日であることが大切で、いつまでも続けて欲しい行事だ。
運動会に無縁の年代であっても、秋の貴重なお日様を浴びて、体を動かすことが健康維持の基本と思う。
