コーヒータイム(27) 家事

2016年6月1日
アドバイザー 加藤 洋男

国と大学の共同調査によると、日常生活で体を動かす活動量について、専業主婦と事務職の会社員を比べたところ、一日の歩数は両者ともほぼ同じだが、座って安静にしている強度の3倍以上の活動をしている時間は主婦の方が事務職の約3倍という結果だったという。掃除機かけ、洗濯物干しなどで強度が高く、育児をしている主婦はさらに活動量が増えるという。

家事労働だけでもかなりの作業量のうえ、働きに出る主婦はさらに肉体的負担が増える。1980年頃は専業主婦の割合が高かったが、現在では専業主婦と共働きの世帯はほぼ同程度の割合で、今後はさらに専業主婦の割合が減少すると見込まれている。スウェーデンの専業主婦はわずか2%だが出生率は1.89と、日本の1.43を上回るが、男性の育児参加が大きな原因とのことで、日本でもとりわけ夫婦の家事分担がさらに大きな問題になりそうである。

 

今年の4月1日から、「女性活躍推進法」が制定された。これは女性の職業生活における活躍を目的にするもので、301人以上の労働者を雇用する事業主に、女性の活躍の状況、課題解決や目標達成の計画、情報の公表などの厚生労働省への提出が義務付けられた。また内閣府は、2020年までに社会のあらゆる分野で指導的地位につく女性を30%にする目標を掲げて推進している。民間では現在は10%未満だから、かなりの努力が要求される。

 

お国を挙げて女性活躍への応援はますます活発になっているが、職業以外の分野でも女性の進出は活発だ。「リケジョ」で理系の女子が増えていることはかねて言われてきたが、最近は「ノケジョ」なる大学の農学系学部の女性比率が増えているそうで、食や健康などを扱う学部増が背景にあるようだが、泥んこになって畑を耕すのも明るくこなしているとのこと。他にも相撲好きで本場所だけでなく稽古場や巡業にも押し寄せている「リキジョ」、そしてプロ野球は各球団とも女性獲得に必死で「カープ女子」「オリ姫」がその筆頭だが、その他の分野でも枚挙にいとまがない。

若い男性諸氏は既にかなり家事を引き受けていると思うが、家でも働く場でもご苦労が多くなることは必至といえよう。
世の流れが、じわりであれ急激であれ、今後ともいろいろな面で変化していくと思われるが、それも”心身の健康”が前提であることを忘れてはならないと思う。

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