コーヒータイム(3) これでいいのだ!

2012年6月1日
アドバイザー 加藤 洋男

「これでいいのだ!」は、赤塚不二夫原作の漫画・アニメ「天才バカボン」のバカボンのパパの口癖である。ハチャメチャだがなぜか愛すべき人物で、多くのファンがいる。 映画にもなった。 「これでいいのだ~♪ これでいいのだ~♪♪」という歌もヒットし、最近でもノンアルコール飲料のコマーシャルに使われている。

赤塚さんは2008年に亡くなったが、最近全く別なところで「これでいいのだ!」が 注目されている。 ブータン王国の生き方だ。

ブータンはヒマラヤ山中にあり、中国とインドに国境を接する人口約70万人(島根県程度)で広さは九州とほぼ同じ小国である。 昨年11月に新婚の国王夫妻が来日したが、被災地である福島県相馬市の小学校で「心の中の龍は鍛錬で大きくなる」という話をするなど、心温まるニュースに好感度大であったことは記憶に新しい。

世界各国が国の力は経済成長率を基としている中で、ブータンは「国民総幸福量」という独自の指標を掲げている。物質の豊かさばかりを求めるより、他者とのつながりや自然とのふれあいにより安心して暮らそうという考え方だ。国民総幸福量の評価要素は健康・環境・コミュニティなど9つあるが、原点は「いろいろ問題はあっても『これでいいのだ!』」と思うことにあるらしい。国民の97%が”しあわせ”と感じているという。 本屋さんにはこれに関する書籍がちらほら見受けられる。

振り返れば日本でも昭和20~30年代は、物もお金もないが隣近所とは家族のように助け合い、それなりに結構幸せを感じて生きてきた。

とはいえ私たちは現実的には昔にタイムスリップする訳にはいかないし、ブータンといえども経済格差、雇用、人種などの問題があり、将来まで含めてどうなるかは分からない。

ただ私たちも、家族・地域・仕事などの人間関係や経済問題などいろいろ不満や不安や悩みなどがあるが、それでも「ま いっか、『これでいいのだ!』」と割り切った方が精神衛生上はよいのかとも思う。