2017年6月1日
アドバイザー 加藤 洋男
国内各地の潮干狩り場の休止が相次いでいるそうだ。潮干狩りはゴールデンウイークを中心として、春から夏に遠浅の海岸で行われるが、獲物の中心はアサリだ。そのアサリ漁獲量がピークの1983年の10%以下に激減して、潮干狩りに回す余裕がなくなったという。
不漁の原因は、水質汚染、乱獲、生息域の埋め立て、他の生物による食害、大型台風などいろいろな影響という。
漁獲量の不足分は中国や韓国などから輸入している。潮干狩りでもその場を維持するために外国産のアサリを砂浜にまくケースがあるようだが、そのアサリにアサリを食べる外来生物が付着していて、それが繁殖していることが確認されている。アサリ漁場回復のためのシンポジウムも行われ、人工干潟の造成、客土などの対策に合わせ、純国産アサリを生き残らせる養殖が不可欠という。
私が子供の頃は近くの海岸によくアサリ獲りに行った。戦後数年経過の当時は無料で獲り放題だったので、よく食卓に上った。カレーの臭いがして喜んだら具が肉でなくアサリでがっかりした記憶がある。いまでこそ”シーフードカレー”などといっていっぱしのメニューになっているが、今昔の感がある。
アサリは日本では古くから食用とされ、貝塚などから多くの貝殻が出土する。現在では味噌汁、酒蒸し、しぐれ煮などの他、スパゲティやチャウダーなど洋物の具にも用いられる。最近は東京の「深川丼」も有名だ。私は母が小刀でむいたアサリを串刺しにしたフライの味を今でも想い起こす。
かつてはアサリとともに潮干狩りを楽しませてくれたハマグリの姿を最近ほとんど見なくなったと思ったら、絶滅の危機に瀕している動植物のリスト(国際自然保護連合や日本の環境省が作り”レッドリスト”といわれる)にアップされているという。
動植物の大量絶滅は過去には主に自然現象であったが、現在は主な原因が乱獲、外来種、地球環境変化での大量絶滅危機だと言われる。原因を辿れば人間に端を発し、その結果を人間が受けるということになる。
些少な事でも一人ひとりの努力や認識を積み上げることが肝要という。私たちの健康も日常の行動や食生活において、自分にとってよいことややるべきことと、悪いことややってはいけないことを明らかにして、それを地道に守っていくことが大切と思う。
