コーヒータイム(34) 運転

2017年8月1日
アドバイザー 加藤 洋男

最近、山田洋次監督の映画「家族はつらいよ2」が上映された。昨年のパート1に引き続いて家族の大騒動と家族愛を描いた喜劇で、今回は車の凹み傷が目立つ頑固オヤジさんの運転免許を返上させようと考えた家族の騒動がテーマであった。高齢者の車運転に伴う事故のニュースが多い昨今、時宜を得たテーマだ。
高齢者事故の原因は加齢による判断力・注意力・運動能力の低下などで、認知症の場合はこれらの能力の低下がさらに顕著になると言われる。他の資格と異なり事が起こった場合は第三者を巻き込むのでより深刻で不幸な社会問題である。

私はたまたま後期高齢者到達を前にして車の運転を卒業した。免許取得以来40余年、旅行を中心に楽しい想い出がたくさんあるが、お陰様で事故もなく利用出来た。最近はスーパーでの重量物の買い物程度にしか使っていなかったが、買い物はネットで届けてもらうことにして思い切った。ただ、運転免許は返納せず、ちょうど認知症機能検査の時期で、自身の程度を知るいい機会と思い検査を受けた。結果はまずまずで、こちらはひとまず安心した。

政府の交通対策本部は高齢の運転免許を、自動ブレーキやブレーキの踏み間違い防止装置を備えた「安全運転サポート車」限定や、時間・区域限定の導入を検討している。
現在でも新車の半数近くは自動ブレーキが搭載されているが、メーカーにより差があるため、2020年までには新車の9割以上を「安全運転サポート車」にすることをメーカーともども目指している。
しかし、効果の確実性、コストの上昇、軽自動車や古い車愛用者が新車へ代替することの現実性などを考えるとまだまだ課題は多い。

ベスト対策は運転から解放出来ることだが、車がないと買い物や通院が出来ないなど生活そのものが成り立たない地域が多くある。「抜本的対策を!」と声高に叫んでも解決はしない。いろいろなケースを踏まえて、地域ごとに具体的かつ現実的な対策を地道に根気強く考えることが不可欠だ。買い物代行、法改正による自家用車のタクシー代替、高齢者向けワンタッチスマホの開発等々、身近な対策に知恵を出す必要がある。
私たちの健康管理も、かかりつけ医師の指導のもと、身近に出来ることを着実に実行することが大切と思う。

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