コーヒータイム(35) 電気自動車

2017年10月1日
アドバイザー 加藤 洋男

最近、ガソリンスタンドの閉鎖が頻繁で、全国の給油所は1994年の6万件余から半減しているという。燃費効率のよい車種の普及でガソリン需要が減ってきていることが原因だが、この傾向は変わらず、車で遠くまで行かないと給油できないという事態が起きているそうだ。このため、簡単な工事で自宅充電ができる電気自動車(EV)が地方から増える可能性がある。EVはまだ新車の1%にも満たないが、「充電スタンド」は現在全国約3万基で、こちらは着々増えているという。

電気自動車(EV)はフランスやイギリスが2040年以降ガソリン車やディーゼル車の販売を禁止すると表明し、大気汚染が深刻な中国も追随を検討している。日本でもEV比率を高める方向にある。
EVは充電時間が長い、走行距離が短いなどの問題があり、EVが短期間で市場を席捲する可能性は低く、2025年でガソリン車とディーゼル車が7割程度残るともいわれる。しかし、EV化の方向は間違いなく、関係機関はその流れに乗り遅れないよう、研究に拍車をかけている。

「ガソリンを燃料としたエンジン」から「電気によるモーター」によって動くEVは、自動車産業にとって100年に一度の大転換なのだ。EVの仕組みは単純で、部品点数はガソリン車1台当たり約3万点に対して半減するという。仕事の総量が半減することになり日本経済への影響は元より、自動車産業の関連を含めた就業人口は約530万人で、その雇用への影響は計り知れない。そのうえEVは自動車製造の歴史がなくとも、全くの異業種からも参入することが出来ることから、ガソリン車では勝てない各国がEVで勝負をかけてくる可能性は大で、輸出依存率の高い日本の立場は更に苦しい。成功体験を引きずって競争力を失った電機産業の二の舞になりかねない。
ダーウインの進化論ではないが、最後に生き残る企業は最も強い企業ではなく、変化に機敏に対応した企業と言う。
思わぬ身近な問題としては、揮発油税が年間約2.4兆円の税収減となり、政府はその対策を急いでいるという。

私たちの身体も、自然、社会環境などが目まぐるしく変化する時代において、その変化に少しでも対応できるよう、日頃の努力が必要かもしれない。

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