コーヒータイム(36) 掃除

2017年12月1日
アドバイザー 加藤 洋男

年末の風物詩の一つに京都東・西本願寺の「煤払い」がある。毎年12月20日にマスクや割烹着をした多くの門徒が集まり、それぞれ1000枚近い畳を煤竹でバタバタとたたいてホコリを出し大うちわで一斉にあおぐ様は圧巻だ。煤払いは正月に年神様を迎えるための準備で、掃除だけでなくお清めの意味もあるという。平安時代からあった貴族の風習で、庶民に広がったのは江戸中期からとの説がある。現在の大掃除の原型で、江戸城で行われていた13日に定着したようである。

掃除で思い起こすのは、私が新婚で入居した社宅は築50年以上の木造だったが、雑巾がけの結晶か廊下は木目が見事に浮き出てピカピカで、以前に入居されていた代々の方の人柄がしのばれ、古い家でも気持ちよく楽しく生活した記憶がある。
従来の室内の掃除は、和ほうき、はたき、ちりとり、雑巾が主で、学校の廊下を糠雑巾で拭いた記憶が懐かしいが、現在はこれらの用具は殆ど見かけない。掃除機と吸着シート位で、掃除機も徐々にロボットが勝手に動いてくれるようになりつつある。子供が巣立った後、夫婦だけとなっては家の掃除が大変だが、それを手助けするよい方法が開発されると助かる方も多いと思われるのだが。

「3秒ルール」という言葉があり、バスケットボール用語かと思ったら、”床に落とした食べ物も3秒以内に拾って食べれば大丈夫”という昔からの俗説とのことで、欧米では5秒が主流らしい。そもそも床に落ちた物を食べるということ自体に疑問があるが、米国の高校生が大腸菌を塗った床に食品を落としたら、かなりの菌が付着したことを見出して3秒ルールを覆し、イグノーベル賞(ノーベル賞のパロディ版)を受賞した。当然の結果とは思うが、3秒ルールOKなほど床をきれいにせよとの教訓だろうか。
2010年に「トイレの神様」という曲がヒットした。少女が一緒に暮らすおばあさんから”トイレにはきれいな女神がいるから毎日トイレをきれいにしたらベッピンになれる”と言われる歌詞だが、トイレにはこの他、子宝を授け安産へ導く神様や、はたまた金運の神様もいるというお話もある。快便快尿に感謝し、人の嫌がることでも一生懸命やりなさいということと思われる。

私たちの健康管理も掃除と同じ概念かも知れない。定期的な健康診断と、年を重ねた身体でも、鍛え、いたわり、気になる異常は早めの治療で、身体のきれい度を高めることが必要なように思われる。

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