コーヒータイム(37) 投げる

2018年2月1日
アドバイザー 加藤 洋男

「子供は風の子 大人は火の子」、寒くて風が吹いても子供は外で遊ぶのが当たり前だったが、この言葉自体をあまり聞かなくなった。最近の小学生が年間を通して屋外で遊ぶ時間が男女とも1日1時間以下で、30年ほど前の約半分になったという。「夕焼け小焼けで日が暮れて・・・・カラスと一緒に帰りましょう」のとおり、昔は四季を問わず、暑さ寒さは何のそので、日が暮れるまで外で遊ぶ毎日だった。最近の子供は塾や習い事、家に帰っても宿題と忙しくて大変だ。

「体力・運動能力調査」が1964年の東京オリンピック開催を機に始まった。調査項目は握力、反復跳び、50m走、ボール投げその他年齢層別に多岐に亘っているが、体力・運動能力ともに1985年がピークでその後やや低下したものの、新しい調査が約20年前に始まったがそれ以降は、概ね各層で緩やかな向上傾向を示しているという。今回調査での特徴は、子供ではソフトボール投げ、ハンドボール投げが低下傾向、成年では男女とも30~40歳代の体力が低下傾向の一方で、高齢者は殆どの項目で向上傾向だそうだ。

  

「投げる」の低下原因は腕力でなく、投げる動作を出来る遊びが失われていることにあるという。私たちが子供の頃は、僅かな広場があれば三角ベースの野球や、ドッジボールに明け暮れた。それも上手下手を問わず誰もかしこも仲間に入って皆で興じたので、自然のうちに「投げる」動作は身につく環境にあった。最近の公園は殆ど”ボール遊び禁止”で、野球は少年みんなの遊びでなくクラブチームに入っている者の特定の競技になってしまった。
働き盛り層の体力低下は問題で、企業でも健康経営が広がりつつある。デスクが昇降式で立ったまま、仕事や会議をする会社が増えつつあるという。おまけに立ち飲み居酒屋も増えているが、長居が減って酒量も減れば一石二鳥だが。
65歳から79歳の体力は年々向上しており、特に女性は3年連続で過去最高を更新している。ジョギングやジムなどで積極的に健康作りをする人の増加による効果のようで結構なことである。

厳しい天候の昨今だが、出来るだけ屋外に出てお日様に当たりながら運動する努力が必要と思う。一方、子供の遊び場確保策も大切と思う。

pic_f069