コーヒータイム(38) 商店街

2018年4月1日
アドバイザー 加藤 洋男

この季節は新入社員の入社式だが、一方では来年卒業する学生の就職活動は既に始まっている。今年も売り手市場のようで結構なことであるが、中身は年々変化しており、かつては安定性と給与の高さで抜群の人気を誇った銀行は敬遠されつつあるという。
昨年3メガバンクで計3万2千人超の人員削減計画が発表された。人員や店舗数の大幅削減もさることながら、お金を集めてそれを貸して利ザヤを稼ぐという伝統的ビジネスモデルは形骸化し、カードやスマホでの決済や、AIなどにより銀行の機能そのものが消える可能性があり、今後の銀行の位置付けは難しいことが原因のようだ。
変化でいえば、小売業界はかなり前から栄枯盛衰が激しい。デパートの天下から、スーパー、コンビニへと移り今やネット販売に移りつつある。その過程で1970年代からシャッター通りと称された街の商店街の衰退が顕著になった。

私は現在の地に根をおろしてから20年経つ。当初から既に衰退傾向にはあったものの300メートルほどの道の両側には肉・魚・野菜の店や和食・中華の食べ物店等々の個人経営の店があり、それぞれの店の主(あるじ)の顔も自然に分かっていた。商店会もあり、会主催の納涼会や抽選会なども行われていた。
それらの店が徐々に閉まり、かろうじてシャッター通りは免れているものの、新たな店はどこかのチェーン店の出先で主の顔を持つ店は全くない。商店会の行事もなくなった。以前の町工場がマンションになっているので人の数は増えていると思われるが、新たな住民は地元を利用しないらしい。

こういう状況にも関わらず、3軒の散髪屋が生き残っている。理由は分からない。私の行きつけの店は昔は大独身寮の若者で隆盛していたというが、今は待たされることはないし、若者は美容院へ行くそうで会うことは全くなく、会うのは主と昔なじみの高齢者くらいである。散髪が終わった後コーヒーが出て飴玉を2個くれるが(以前はタバコ)、地域と接点のない私にとって唯一の情報源を感じつつ、ふんわりと温かいひとときを過ごすのは貴重な時間なのかも知れない。何とか頑張って欲しいものである。

私たちの身体も時々刻々変化していると思うが、定期的な棚卸しで変化を認識し、自分で努力することと、医師に委ねることを理解、実行して過ごすことが肝要と思う。

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