コーヒータイム(40) 二八

2018年8月1日
アドバイザー 加藤 洋男

二八(にっぱち)といわれ、2月と8月は売上が下がるという現象がある。いつ頃から言われ出したか不明だが、理由は、寒い・暑いのため不精になる、それぞれ稼働日数が少ない、日給制が多かったので稼ぎが少ない、暮から正月・盆の準備で出費が多すぎた等いろいろあるようで、2月のチョコレート業界や8月のビール業界などの例外を除いては現在でも当てはまる業界が結構あるようだ。確かに今夏の酷暑は購買意欲を減退させる。

にっぱちと関係ないが、二八といえば二八そばがある。そば粉8とつなぎの小麦粉2の割合で作ったそばをいうが、本来の十割そばに対して安物として出来たようで、二八の十六としゃれて十六文だったそうな。有名な落語に「時そば」がある。支払いを八つまで数えて「今なん時だい?」、そばやが「九つ」と答えると以後十、十一と続けて一文ごまかすが、それを真似した間の抜けた男が四つ時にそばを食べに行き、八つまで数えて「今なん時だい?」「四つ」と答えて以後五、六となって払い過ぎ、お後がよろしいようでとなる。そば通でない私には十割は重く、二八の方がのどに馴染む。
さらに二八の数字に「2:8の法則」がある。これはれっきとした”パレートの法則”といわれイタリアの学者が発見したもので、例えば、全商品の内2割の点数で売上全体の8割を占めている、全部品の2割で故障の8割の原因がある、所得税納税者の上位2割で全体の8割を占めているなどである。何かの分析や対策をする際に、全品種を検討するのでなく、上位2割を検討すれば8割が完了することになって効率的であり、いろいろな方面で活用されている。

この法則から派生して、”2:6:2の法則”がある。アリの法則ともいい、よく働いているアリは2割、普通に働いて時々さぼるアリが6割、サボっているアリが2割という。よく働いているアリ2割を間引くと残りの中から2割がよく働くようになり、最終的には2:6:2の割合になるという。
物事を論議する場合も、相対する2と2が徹底して論議し、それを聞いて中立の6がどちらかの意見に与(くみ)して、最終的には多数決で決まったものに全員が従う、という姿が望ましいと思う。昨今の一強の意見で決まる世界的な状況は困ったものだ。

この法則は人間関係にもあてはまり、気持ちや意見が合ったりする人は2割、そうでない人が2割、その時々で合ったり合わなかったりが6割で当然だそうだ。
私たちのストレスの原因の大半は人間関係でそりの合わない人に対して、自分を責めたり、相手を恨んだりすることがあるが、そういう人が存在することは世の摂理であることを理解して気楽に考えた方がよいのかも知れない。

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