2019年4月1日
アドバイザー 加藤 洋男
春の訪れとともにプロ野球が始まった。歳をとってスポーツを能動的に行うことは難しくなり、もっぱら見物が中心となる。
新しいシーズンの楽しみは若い戦力の成長だが、FA制度により他球団からベテランが補強され、若い芽がつぶされるのはいささか面白くない。”それを乗り越えてこそプロだ”とは言うが、気力が萎えることもあろう。
プロ野球選手は育成選手を含めて約900人だが、毎年100人もの選手が入って同じ数だけ退団することになる。平均的な選手寿命は入団後4~5年で、一軍の試合に出場できないまま引退した選手も多い。年俸の高さや華やかさは一握りで、若手選手の半数は引退後の生活に不安を感じているというが、さもありなんと思う。少年野球から始まって、高校・大学あるいは社会人野球があるが、それぞれの段階でそれぞれの地域で抜きんでた存在が多くいて相当なレベルを有している。しかし、その中からプロになる者は僅かで、入った後の競争が更に熾烈だ。
サッカーはJ1からJ3まで総勢千数百人で、毎年その1割程度の新人が入るが、在籍平均年数は6年程度といわれる。試合数は1年に約50試合、過去10年間で約500試合になるが、半数の選手は50試合以下しか出場出来なかったという。
“プロ”の世界はことほどさように厳しいが、スポーツだけでなく芸術・文化の世界も一線に立てる確率は極めて低い。
この季節の一般社会への新人は約90万人だそうだが、これらの皆さんもそれぞれの世界で厳しい試練に挑戦して、いずれはその道のプロを目指して欲しいものである。
さて、園児と小学生を対象とした「大人になったらなりたい職業」の2018年版が発表された。男子はサッカーと野球が拮抗している。私たちの子供の頃は野球がすべての様相を呈していたものの、最近は野球の退潮が顕著と思っていたが、トップクラスにあることは予想外だった。
嬉しいことに昨年、小学生の孫が少年野球教室に入った。この正月早々、一緒にキャッチボールをすることを楽しみにしていた。ところが始めて間もなく、孫のボールをキャッチしようとした途端あえなく転倒。孫の心配をよそに「大丈夫!大丈夫!」と言っていたが、病院に行ったら肋骨がきれいに折れていた。看護師さんから「この年齢になると、くしゃみをしただけで骨折する人もいますよ」と慰められた。
年齢に見合った運動を常日頃心がけることと、身の程をわきまえた行動をすることの大切さを改めて認識した次第である。