コーヒータイム(45) 元号

2019年6月1日
アドバイザー 加藤 洋男

「令和」に改元されて1カ月が過ぎた。今回の改元で意外だったのは若者の反応だった。改元の日をカウントダウンして過ごし、来たる令和の時代を”ワクワク”して迎えると言った声を多く聞いた。元号存続も20歳代の存続支持率が50歳代、60歳以上を上回って約85%に及ぶという結果が出た。

「令和」の名称評価も80%以上の支持を受けた。その発祥が万葉集ということで、一時は書店から「万葉集」と名の付く本は瞬く間に売り切れになったそうで、日本人の元号に対する関心の深さと、勉学心の高い人の多さに感心した。

「令」は令夫人・令室・令息・令嬢・などを連想し(夫はなぜか該当しないが)、「和」は聖徳太子の”和を以て貴しと為す”が頭に浮かぶが、外務省は公式の訳語を「ビューティフル ハーモニー」としているそうで、和英ともに響きが心地よい。

「梅花の歌」を詠んだ大伴旅人の邸宅跡と言われる福岡県太宰府の坂本八幡宮は、普段訪れる人は数えるほどで常駐の宮司はいないが、新元号を記念して御朱印の授与や、記念写真用の「令和」入り額の貸出しを行った。ところが5月1日の1万5千人を筆頭に多くの参拝客が殺到して、ボランティアの氏子の皆さんがついに疲労困憊でダウンしサービスを中止したという。又、最近の旅行社のチラシには坂本八幡宮を巡るコースがあり商魂が逞しく迅速なのに驚く。

世界的に年号の大半はキリスト誕生を起点とした西暦だが、ユダヤ暦、タイ仏暦、イスラム暦などがある。日本は西暦と元号の併用で元号があるのは日本のみだそうだ。

デジタル時代の現代では西暦が便利だが、元号は大化以来1300年以上連綿と受け継がれてきた文化だという。明治には維新、大正のデモクラシー、昭和は戦争と経済成長など、それぞれの時代を反映するイメージがあるが、平成はどうだろうか。

どちらを使うかは自由だが、私の現役時代は昭和時代の社内の文書は昭和表示であったため公私を含めて出来事の記憶は昭和の年代だが、平成に変わる時文書は全て西暦表示に変わったため、それ以降の私の記憶は全て西暦になり、平成○○年といっても記憶に浮かばない。全く意識した訳ではないが習慣の力で自然にそうなった。

元号が変わっても時は粛々流れていくが、これを機に一層心身の健康に留意して健康寿命を伸ばしていきたいと思う。新しい時代が、子や孫の時代も平和で穏やかなになることを切に祈念しつつ。

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