コーヒータイム(59)さつまいも

2021年 10月1日
アドバイザー 加藤 洋男

10月はさつまいもが旬。10月13日はさつまいもの花が誕生花で「さつまいもの日」だ。秋から冬になると”い~しや~きいも~”の声がよく合う。

私が子供の頃、おやつは来る日も来る日もふかしたさつまいもだった。それでもお腹がすくのでいやも応もなく食べた。その頃に一生分食べたような思いから、おいしいとは思いつつ、いまだに出来ればご遠慮したい気分である。成人した後、母にこの話をしたら「さつまいもの中でもおいしい品種を一生懸命探したんだよ」と叱られた。黄色の身の農林○号、白い身の沖縄○号という名称をかすかに記憶している。

さつまいもの名称は沖縄を経て鹿児島(薩摩国)に伝わったためだが、甘藷とも呼ばれる。日本には1500年後半から1600年にかけて伝来したようだが、やせて米作には不向きな土地でも栽培できた救荒作物で、シラス台地の薩摩藩で奨励された。さつまいもの普及には色々な人が貢献しているが、教科書にも載っていた「さつまいも先生の青木昆陽」を思い出す。八代将軍徳川吉宗の時代に、昆陽が薩摩藩から苗を取り寄せて小石川植物園、千葉市幕張や九十九里町などで栽培に成功し、全国に普及して飢饉に苦しむ農民を救った。幕張には昆陽神社がある。

現在の主産地は、1位は芋焼酎の原料にも利用される鹿児島県が圧倒的で、以下茨城、千葉、宮崎、徳島の順となっている。因みに近年関東でも人気のある芋焼酎はいもの香りが穏やかだが、鹿児島県人に言わせると芋焼酎の部類に入らないそうな。強烈ないもの臭いで関東人にはとてもお付き合い出来ない。
 食べ方は色々あるが、焼いも、干しいも、大学いも、天ぷらなど多彩で、幼児のいも掘りは楽しい行事の一つ。ことほど左様に皆に愛されているが、ダサい、垢抜けないことを”いもっぽい”という。英語圏ではスイートポテトと頬が落ちそうな名称だ。花はピンク色で花言葉はなんと「乙女の純情」!!だいぶ扱いが違う。

コロナウイルスは乾季を迎え予断を許さないが、一人ひとりの注意で感染を防ぐのはもちろんで、”いもづる式”なクラスターを起こさぬよう、ワクチン接種の後でも万全の備えを行う必要があると思う。

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