コーヒータイム(62)トラ

2022年 4月1日
アドバイザー 加藤 洋男

今年の干支は寅で、かつ五黄(ごおう)の寅だ。36年に一度巡ってくるので、1986年(昭和61年)、1950年(昭和25年)生まれがこれに該当する。五黄の寅年生まれの人は生命力が強く、個性豊かで、強いリーダーシップを持っていると言われるが、徳川家康、上杉謙信がそうだという。

ところがこのトラが絶滅の危機にあるという。20世紀初頭には10万頭が生息していたが100年後の現在は3000頭にまで減り、生息国は13か国から8か国になった。加藤清正の虎退治で有名な朝鮮半島には既にいないらしい。
 主な原因は都市や農地の開発、森林伐採などにより生息地が破壊されていることと、漢方薬になると言われる骨や毛皮を求めた密猟の結果で、パンダより保護の緊急性が高いという。
 トラはネコ科だがネコとは程遠く、体長は140~280cmになる。動物食で特に哺乳類を食べる。夜行性で一晩に10~20kmを徘徊して獲物を探す。”虎は千里走って千里還る”と、一日で4000kmを往復することになるが、北海道から鹿児島までが2000km弱であることを思うと、いささか話が大き過ぎる。体色は黄色と黒だが、工事現場などで見受ける危険を表すトラロープは黄と黒だ。

coffeetime62

日本では百獣の王といえばライオンだが、中国ではそれはトラで、武勇や王者のイメージとされている。その流れか日本語ではライオンに関する言葉は聞かないが、トラに因んだ言葉は多く、十二支の中でも筆頭ではないだろうか。泥酔して”虎”になることを繰り返せば、いずれ貴重な”虎の子”を失うことになり兼ねない。又、実力者の威光を借りて威張る”虎の威を借る狐”は紙などで出来ている”張り子の虎”状態で困ったものだ。春になりプロ野球が開幕したが、阪神タイガースは「寅年の今年こそ優勝!」と”虎視眈々”と狙っている。

コロナ禍はまだ予断を許さない。一難去って又一難の”前門の虎、後門の狼”のように、コロナを逃れても他の病気にならぬよう健康管理を怠ってはならない。健康管理の”虎の巻”も参考にしつつ、地道な節制と医師の指導をきちんと実践することが肝要と思う。