コーヒータイム(75) 硬貨

2024年6月1日
アドバイザー 加藤 洋男

7月3日から紙幣が変わる。一万円札は40年間お世話になった福沢諭吉さんに代わって渋沢栄一さんの登場となる。五千円も千円もそれぞれ変わる。一方、お金の少額は硬貨が受け持つが、こちらは変わらない。

私は昔から“小銭入れ”は持たず、硬貨はズボンのポケットに直接入れていた。帰宅すると500円は貯金箱へ、5円・1円は缶の中へ入れ、ポケットには100円・50円・10円が残った。500円貯金は忘れた頃に意外に結構な金額になっていて、妻へのプレゼントとして点数を稼いだこともあった。

1円玉は1989年の消費税の導入により需要が高まって全盛を誇った。NHK「みんなのうた」で放送された「一円玉の旅がらす」はヒット曲になった。「一円玉でも出世街道・・♪♪」の歌詞は1円玉でも出番が増えたという意味合いがあるという。

10円玉にも歌がある。亡き八代亜紀の「心をつなぐ10円玉」で、中学校卒業時に先生が生徒全員に10円玉の子袋を渡し「苦しい時は電話をかけて来い」との実話をもとに作られ、先生への感謝を込めて歌ったそうだ。

昭和の時代のドラマ等で通話料3分間10円の赤いダイヤル式電話で、10円玉をたくさん準備して故郷や恋人へ電話するシーンが懐かしい。

硬貨のうち5円と50円は穴が空いている。5円玉は昭和20年代に登場したが、当時の1円玉と色が似ていて視覚障害者に分かり難いなどの理由で5円玉に穴があいたという。50円玉も同じよう理由で100円玉と区別しやすいように昭和30年代に穴あきとなった。いずれも材料費が数%節約出来、偽造防止にも効果があるという。

昨年はクレジットカード、電子マネー、QRコード等のキャッシュレス決済が消費全
体のほぼ40%にもなった。今後もこの傾向は拡大されると思われ、硬貨の製造枚数も更
に少なくなっていくと予測されている。

買い物などで、小銭を1枚1枚小銭入れから出すアナログ型と、時代の波に乗ってキャッシュレスのデジタル型と、脳の働きに本当に良いのはどちらだろうか。