2024年12月1日
アドバイザー 加藤 洋男
体が冷え切って寒さに震える冬場でも、大汗をかいてベタベタした体の夏場でも、家に辿り着いて、風呂に入るとさっぱりして、体を清潔にする本来の目的に加えて、「一日が終わった」の解放感も併せて何とも幸せな気分になる。とはいうものの私は風呂に入る時間が極めて短く、家族からは「もうあがったの」と驚かれる”烏の行水”の部類だ。
1970年代に南こうせつとかぐや姫が歌って大ヒットした「神田川」では、若い二人が横丁の風呂屋へ行き、女性の”一緒に出ようと言ったのにいつも私が待たされて体が冷え切った”という歌詞があるが、男性でも長湯の人がいるのかと不思議だった。
風呂には古くは、五右衛門風呂の一種でドラム缶を使った風呂は下駄を履いて入るがやけどをしたり、木桶風呂で底を抜かしたりしたという逸話もあった。
私が新婚早々に入居した古い木造社宅では、風呂は別棟で石作りの浴槽、燃料は薪だった。火をつける技術が結構難しく、さらに湯温の調整が大変で、その後ガス風呂付きの団地タイプの社宅に転居してからの快適さは格別だった。
日本では浴槽に湯を張り、体を浸けるというスタイルが一般化したのは江戸時代からのようだが、世界では紀元前4~5000千年前からギリシャ等で浴室が作られていた。十数年前ヤマザキ・マリによる漫画「テルマエ・ロマエ(ローマの浴場の意)」が発刊され、その後映画化された。古代ローマ時代の浴場と現代日本の風呂を、現代日本にタイムスリップした古代ローマ人の浴場技師が繰り広げるアクションを描いたコメディで大ヒットした。
菖蒲湯は5月5日の端午の節句にショウブを入れて暑い夏を丈夫に過ごすことを念じている。夏の季語だ。又柚子湯は冬至の日(今年は12月21日)に柚子を入れて風邪をひかぬよう念じていて、冬の季語になっている。
年の暮れには一年の垢を落としてゆったりとし、来る年の行動や健康管理を考えることもよいかも知れない。