2023年1月24日
皮膚科医師
芳川万代
免疫によって守られている私たちのカラダ
私たちのカラダは免疫によって病原菌やウイルスなどの異物から守られています。免疫は無数にある異物に対抗するために、「自然免疫」と「獲得免疫」という2段構えになっています。「自然免疫」は生まれつき備わっているもの。「獲得免疫」は異物に応じた攻撃方法を記憶していく後天的な仕組みです。さらに「獲得免疫」は役割によって“細胞性免疫”と“液性免疫”に分かれて体を守っています。“細胞性免疫” はT細胞という免疫細胞が主体となって働いている免疫で、免疫細胞自体が異物を攻撃するという特徴があります。“液性免疫”はB細胞が主体となって、抗体を作ることで異物に対抗する免疫です。
帯状疱疹を発症しないためには…
帯状疱疹は、水ぼうそうウイルスに特化した細胞性免疫が低下することによって発症します。 近年は、水ぼうそうウイルスに暴露する機会が減ったり、加齢と共に免疫は低下してくるため、ワクチンを接種することで細胞性免疫を増強し、発症を予防することが推奨されます。
2つの帯状疱疹ワクチン
日本では、元々水ぼうそうのワクチンである乾燥弱毒生水痘ワクチン「ビケン」が“50歳以上の者に対する帯状疱疹予防”として2016年3月に認められました。さらに2020年には、サブユニットワクチン(不活化ワクチン)の「シングリックス」も認可されています。<表1>は両者の比較です。
まとめ
それぞれの長所として、「ビケン」は費用が安く、副作用も少ないこと、「シングリックス」は免疫低下している人でも打つことが可能で、予防効果が高いことが挙げられます。 この機会に、ワクチンを打つことを検討してみては如何でしょうか。