14. 睡眠と免疫 part.2~免疫力を高める睡眠のポイント~

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2022年10月25日
皮膚科医師
芳川万代


前回、睡眠不足に伴う様々なリスクについてお話ししましたが、「良好な睡眠」にするためには何に気をつければいいのでしょうか。

睡眠時間は長ければいいの?
ある米国での研究では、睡眠時間と死亡リスクの関係を110万人超の男女を対象に約6年間追跡調査しており、睡眠時間が7時間の人が最も死亡率が低く長寿でした。短い睡眠はもちろんですが、8時間を超える睡眠時間の人も死亡リスクが上昇するという結果がでています。
日本の成人の睡眠時間は6時間以上8時間未満が6割を占めており、2015年米国の全米睡眠財団の調査報告によれば、これが標準的な睡眠時間と考えられています。また、夜間に実際に眠ることができる時間は、25歳で約7時間、45歳で約6.5時間、65歳で約6時間と、少しずつ減少していきます。さらに、日の長い季節の夏場では睡眠時間は短くなり、日の短い季節の冬場では長くなる傾向にあります。
このように、睡眠時間は年齢や季節などによってまちまちです。また、必要な睡眠時間は個人差もあります。睡眠は身体が必要としている時間以上の睡眠をとることは不可能と言われており、睡眠時間にこだわり過ぎるとかえって睡眠が浅くなったり、不眠に陥ることが多いようです。ある程度の時間が確保できていれば睡眠時間にこだわらなくて良いでしょう。

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大事なのは”睡眠の質”
“質の良い睡眠”とはどのようなものなのか、次の4つのポイントを見てみましょう。

①寝つきが良い
②途中で目覚めることなく、ぐっすり眠れる
③目覚めがスッキリしている
④日中に眠気を感じない

“睡眠の質”を決めているのは、睡眠ホルモンであるメラトニンです。夜間、メラトニンがきちんと分泌されると、睡眠の深さと長さが安定した質の良い睡眠をとることができます。そのメラトニンは、神経伝達物質のセロトニンが原材料になっています。セロトニンは幸せホルモンとしても有名で、セロトニンが増えると笑顔でいる時間が増え、若見えの効果が期待できるといわれています。まずは、セロトニンを日中に増やす行動、そして夜間に分泌されるメラトニンを減らさない行動をとることが重要になります。

まとめ
「良好な睡眠」にするためにはただ長く眠れば良いというわけではなく、大切なのは”睡眠の質”です。次回は、”質の良い睡眠”をとるポイントについてお伝えしたいと思います。