16.帯状疱疹 part.1~帯状疱疹が増えている!~

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2022年12月26日
皮膚科医師
芳川万代


帯状疱疹とは?
帯状疱疹は、水ぼうそうのウイルスが原因で起こります。水ぼうそうウイルスは体内(神経節)に潜伏していて、過労やストレスなどで免疫力が低下するとウイルスが再び活性化して、帯状疱疹を発症します。発症すると、皮膚の症状だけでなく、神経にも炎症を起こし、痛みが現れます。皮膚症状は、体の左右どちらかの神経に沿って現れ、痛みを伴う赤い斑点と水ぶくれが多数集まって帯状に生じます。

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発症の原因
加齢、疲労、ストレスなどによる免疫力の低下、糖尿病やがんなどの免疫力が低下する病気なども発症のきっかけになります。近年、この帯状疱疹が増加傾向にあると言われています。原因としては、下記の5つがあげられます。

  • 高齢者人口の増加
  • 小児に対する水痘ワクチン定期接種がスタート(2014年)したことで、水ぼうそうの流行が激減し、大人が水ぼうそうウイルスに対する免疫活性化の機会が減ったこと。
  • コロナ禍でのストレスや運動不足による免疫の低下
  • コロナ禍で人との接触が減ったことで、これまで以上に水ぼうそうウイルスに対する免疫活性化の機会が減少したこと。
  • コロナワクチン接種後に帯状疱疹が増加することが、海外の症例報告でも報告されており、なぜ増えるのか因果関係ははっきりしてないが、ワクチン接種後における一時的なリンパ球減少が可能性の一つとして考えられている。

帯状疱疹の合併症
最も頻度が高いのは帯状疱疹後神経痛(PHN)です。神経が損傷されることで、皮膚の症状が治った後も痛みが残ることがあり、3か月以上痛みが続くものをPHNと呼びます。
PHNになりやすい因子として、以下が挙げられます。

  • 高齢者
  • 痛みが強い
  • 皮膚症状が重症
帯状疱疹は頭部から顔面に症状が現れることもあり、目の症状として角膜炎や結膜炎、ぶどう膜炎などの合併症を引き起こし、重症化すると視力低下や失明に至ることがあります。
その他の合併症として、顔面神経麻痺や耳鳴り、難聴、めまいなどがあります。

まとめ
帯状疱疹はできるだけ早期に抗ヘルペスウイルス薬を全身投与すること(皮疹出現後72時間以内が望ましい)で、合併症のリスクを軽減できるため、早めの受診が大切です。
次回は、予防についてお話ししたいと思います。