18. ブルーライトとシミ

2023年2月24日
皮膚科医師
芳川万代

ブルーライトとは?

ブルーライトとは可視光線(ヒトの目で見ることのできる光)の中で、もっとも波長が短い(380nm~495nm)青色の光線で、エネルギーや刺激の大きい光線です。もちろん太陽光にも含まれますが、パソコン・スマートフォン・テレビなどの液晶画面からもブルーライトが放射されています。

ブルーライトでシミができる?

ブルーライトが目に悪い影響をもたらす事や、睡眠の質を下げることは広く知られています。
では、ブルーライトは私たちの肌にも影響があるのでしょうか?

2014年に日本の化粧品会社が行った実験では、ブルーライトを約1時間浴びると色素沈着を引き起こし、その色素沈着は3カ月以上残る可能性があるという事がわかっています。また、2020年に発表された資生堂の研究でも、皮膚の酸化ストレスを増大させ老化症状(シミ・しわなど)を引き起こす可能性が示唆されました。

ただし、これらの研究では太陽光レベルのブルーライトが照射されている点に注意が必要です。スマートフォンやPCから発せられるブルーライトは太陽光に含まれるブルーライトよりも圧倒的に少ないことが知られています。しかし、長い時間スマートフォンなどを見ることで目を酷使し、脳がストレスを感じて副腎皮質ホルモンの分泌が増えるため、肌のくすみの原因となったり、メラトニンが減少し体内時計が狂うことによる睡眠障害によって、良質な睡眠がとれず、間接的に肌あれ・くすみ・シミ・しわなどが起こることは無視できません。

現代社会ではディスプレイを長時間見るライフスタイルが多くなっており、ブルーライトのいろいろな人体への影響が懸念されていますが、ブルーライトの人体への影響は未知の部分もあり、今後のさらなる研究が期待されます。

普段から気をつけられること

・睡眠前のブルーライトを遮断する

眠る前にベッドの中でスマートフォンをいじる方は多いと思いますが、この時に浴びるブルーライト量は通常よりも多くなっています。というのも、距離が近いほどブルーライトの量は多くなるためです。また、眠る前にブルーライトを浴びると体内時計も乱れてしまいます。


・ブルーライト量の設定を変更する

多くのスマートフォン、パソコンにはブルーライト軽減機能が付いていて、設定変更すればブルーライトの量を調整する事が出来ます。画面の色味が変わって、慣れるまでは違和感がありますが、ブルーライトの量が自動調整できるアプリもありますので、設定の変更が煩わしい方はアプリを利用しても良いでしょう。