19.ビタミン part.1~種類とそれぞれの働き~

2023年3月20日
皮膚科医師
芳川万代

ビタミンとは?

ビタミンとは、エネルギー産生栄養素である糖質・脂質・タンパク質の代謝を円滑に進めて潤滑油のような働きをする栄養素です。カラダに必要な量はわずかですが、食品から摂取する必要があります。食品に含まれている栄養素のうちビタミンと呼ばれているものは13種類です。
13種類あるビタミンは、脂溶性と水溶性ビタミンの2つに分けられます。

  • 脂溶性ビタミン ビタミンA、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンK
  • 水溶性ビタミン ビタミンC、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6、
    ビタミンB12、ナイアシン、パントテン酸、葉酸、ビオチン
    (ビタミンC以外はまとめて「ビタミンB群」と呼ぶこともある)
ビタミンの体内での働きと含まれる食品

[表1]はそれぞれの働きと、日常的に摂取しやすくて多く含まれる食品を表にしたものです。

[表1]

  働き 多く含まれる食品
A 皮膚や粘膜を健やかに保つ。視覚に関わる色素タンパク質の生成、カラダの成長に関わる。 鶏レバー、うなぎ、しらす干し、プロセスチーズ、バター、卵、のり、ニンジン、カボチャ、しそ
D 骨と歯の発育促進。神経伝達や筋収縮に関わる。近年、糖尿病、うつ病、花粉症など多くの病態の改善が期待されている きのこ類、魚類(鮭、イワシ、サンマ、ブリ、しらす干しなど)、卵
E 強い抗酸化作用があり、血管を健康に保つほか、老化防止効果もある。 かぼちゃ、赤ピーマン、うなぎ、ぶり、めかじき、アーモンドなどの種実類、豆乳
K 血液凝固や骨の健康維持に関わる。 海藻、納豆、ホウレン草、卵、鶏肉、菜種油
C コラーゲンの生成、しみの抑制、病気に対する抵抗力を強める働き。抗酸化作用によるがんや動脈硬化の予防、老化防止。 野菜(赤ピーマン、ブロッコリー、じゃがいも、さつまいも)や果物(キウイ、いちご、かき)、緑茶
B1 エネルギー産生に関わり、脳の発育・神経機能に密接に関わる。 豚肉、うなぎ、紅鮭、小豆、玄米、ライ麦パン、ごま
B2 発育促進、皮膚や粘膜の機能を正常に保つほか、髪、爪などの細胞の再生にも関与 レバー、さば、のり、納豆、牛乳、卵、ごま
B6 免疫機能の正常な働きの維持、皮膚の抵抗力の増進、赤血球のヘモグロビンの合成、神経伝達物質の合成、脂質の代謝にも関与 切り干し大根、かぼちゃ、玄米、ライ麦パン、かつお、バナナ
B12 アミノ酸や脂肪酸の代謝に関わる。また、赤血球の形成に関わる。 しじみ、あさり、さんま、のり、レバー、卵、チーズ
ナイアシン さまざまな物質の代謝や合成に関わる。 かつお、たらこ、ささみ、鶏むね肉、玄米、パン
パントテン酸 エネルギー代謝に関わる。 レバー、きのこ類、ししゃも、納豆、牛乳
葉酸 DNAやRNAの合成、赤血球の産生などに関わり、体の発育にも重要。 のり、レバー、緑茶、枝豆、ホウレン草、ブロッコリー、アスパラガス、卵、チーズ、納豆
ビオチン 皮膚や粘膜の維持、爪や髪の健康に深く関わる きのこ類、レバー、卵、らっかせい、アーモンド、ししゃも、あさり

このように、ビタミンは肌の美容に関しても重要な栄養素であり、人間に必要なさまざまなエネルギーを生み出すための「エンジン」として、それぞれが重要な役割を担っています。
1種類を大量に摂れば良いというわけではなく、食事や時にはサプリからバランスよく摂りましょう。次回以降は、いくつかのビタミンについて詳しくお話ししていきます。