2021年 6月10日
皮膚科医師
芳川万代
夏でも肌は乾燥するの?
夏は気温が高いことで汗をかきやすい季節です。ベタベタするから保湿はあまり気にしなくても大丈夫だと思っていませんか?
実は次の3つの理由から“かくれ乾燥肌”に注意が必要です。
①汗
汗と一緒に肌のうるおい成分も流出するため、肌の水分と油分のバランスが崩れます。また、汗を放置すると、蒸発するときに肌の水分を奪い去ってしまいます。
②エアコン
冷房をかけると湿度が下がるため、肌の水分が奪われます。また、冷房の風に直接あたると、さらに乾燥しやすくなります。高温の室外と冷えた室内の寒暖差によるストレスも、皮脂の分泌に悪影響を与えます。
③紫外線
夏は紫外線量が多く、肌に大きなダメージを与えます。肌の表面に炎症を起こしたり、肌の奥へと侵入してコラーゲンを破壊したり、短期的・長期的に悪影響を及ぼします。
夏のスキンケアのポイント
まず、こまめに汗をふきとりましょう。特に顔は長時間のマスク生活で、こもった状態になっています。
皮膚温が上がらないように、首を冷やすのもいいでしょう。
洗うときは、肌のベタつきが気になってゴシゴシとしがちですが、前回お話しした通り、優しく行いましょう。洗うのは1日2回までとし、肌のうるおいを保つ皮脂まで洗い流さないようにします。 最後に、入浴後・洗顔後は速やかに保湿をすることが大切です。
インナーケアも大事?
最近は腸と肌の関係が注目され、腸の状態がよくなると肌の水分保持量が上昇するというデータも明らかになっています。美肌づくりのためにも、乳酸菌やオリゴ糖などを積極的に摂り、腸内環境を整えるようにしましょう。食生活が乱れがちな夏ですが、皮膚の材料となる良質のタンパク質をはじめ、ビタミン・ミネラル、特に、ビタミンB1・Cは積極的に摂りましょう。
- ビタミンB1は豚肉やうなぎ、玄米や豆類などに多く含まれます。土用の丑の日にうなぎを食べることは、昔から夏バテ予防の知恵として定着していたのでしょう。枝豆やとうもろこし、モロヘイヤなどの夏野菜にも比較的多く含まれています。
- ビタミンCは緑黄色野菜や柑橘類などの果物、いも類に多く含まれます。緑のカーテンとしても大活躍のゴーヤや、小松菜に多く含まれます。また、旬の野菜で太陽の光をたっぷり浴びた野菜にも多く含まれます。きゅうりやトマトなどの夏野菜は、生のまま食べると加熱による損失がなく、夏のビタミンCの供給源としておすすめです。
まとめ
夏は、高温多湿やエアコン、紫外線、汗などの影響で肌が荒れがちです。原因にあわせて対策し、美肌づくりを意識した食事を心がけて、健やかな肌を保ちましょう。