20.ビタミン part.2~ビタミンB2, B6~

2023年5月29日
皮膚科医師
芳川万代

前回、ビタミンについて簡単にまとめましたが、今回はビタミンB2とB6について、その性質や働きと、摂取のポイントについてお話しします。

ビタミンB2(リボフラビン)

ビタミンB2は、糖質、脂質、タンパク質の代謝、エネルギー産生に関わる酸化還元酵素の補酵素(酵素の働きを助けるもの)として働きます。「発育のビタミン」ともいわれ発育促進に欠かせない栄養素であり、皮膚や粘膜、髪、爪などの細胞の再生に役立ちます。
特に脂質の代謝を助けてエネルギーに変えるため、ダイエットをしている人、脂っこい食事が多い人には重要な栄養素です。ダイエット中は食事制限により栄養素が不足する傾向にありますが、脂質の代謝のためにも不足しないよう摂取を心がけましょう

◆摂取のポイント
水溶性ですが酸や熱には比較的安定しており、調理による損失が少ない栄養素です。ただ、光やアルカリには分解されやすい性質を持っているので、冷暗所など光が当たらない場所に保管するようにしましょう。また、肌のターンオーバー(古い皮膚がはがれ落ちて新しい皮膚が生まれるサイクル)を促す働きを期待する場合には、ビタミンB6と一緒に摂るのがおすすめです。また、エネルギー消費量が多い人ほどビタミンB2を必要とするので、スポーツをする人は積極的に摂るように心がけましょう。

ビタミンB6(ピリドキシン)

エネルギー代謝の補酵素として重要なビタミンです。免疫機能の正常な働きの維持、皮膚の抵抗力の増進にも必要で、赤血球のヘモグロビンの合成にも欠かせない栄養素です。肝臓に脂肪が蓄積するのを防ぎ、肝脂肪の予防にも効果を発揮します。また、ビタミンB6はアミノ酸の代謝と関わっているため、神経伝達物質(GABAやセロトニン、ドーパミン、アドレナリン、ノルアドレナリンなど)の合成を促進する作用があります。心を落ち着かせたいときに摂り入れたい栄養素です。

◆女性にありがたい栄養素
ビタミンB6は、エストロゲンの代謝に関わり、ホルモンのバランスを整える働きがあります。赤血球の合成にも役立つため、月経前症候群 (PMS)の症状をやわらげる働きがあるといわれています。また、妊娠するとタンパク質代謝が促進され、ビタミンB6が欠乏することでつわりが誘発されるという説から「ビタミンB6を補うとつわりが軽減される」という研究もあり、注目されています。

◆摂取のポイント
ビタミンB6は冷凍食品、加工食品では減少するため、できる限り新鮮な状態で摂取するのがおすすめです。ビタミンB6が働くときにはビタミンB2が必要になるため、合わせて摂るようにすると効果的です。