21.ビタミン part.3~ビオチン、ビタミンD~

2023年6月25日
皮膚科医師
芳川万代

今回はビオチンとビタミンDについて、その働きと摂取のポイントについてお話しします。

ビオチン

ビオチンはアミノ酸の代謝に関わっています。アミノ酸は体内でコラーゲンなどを合成する際の材料となるため、皮膚や粘膜、髪の毛を健康な状態に保つために重要です。また、抗炎症物質を生成することで炎症を防ぎ、アレルギー症状を緩和します。

◆摂取のポイント
水に溶けやすいものの、熱、光、酸に強いので摂り入れやすい栄養素です。腸内細菌によっても合成されますが、その量だけでは必要量を維持できないため食品で補うことを心がけましょう。また、抗生物質を長く服用している場合、ビオチン合成量が減ることがあるので食事から摂取する必要があります。生卵の白身を大量に摂取すると、卵白に含まれる「アビジン」がビオチンと結合して吸収を阻害します。アビジンは加熱することで不活性化し、吸収阻害の心配はなくなります。

ビタミンD

ビタミンDはカルシウムの吸収促進、骨の成長促進、血中カルシウム濃度を調節する重要な役割のある栄養素で、健康な骨を維持するために欠かせないビタミンです。また、ビタミンDには、免疫機能を調整する働きがあり、風邪やインフルエンザ、気管支炎や肺炎などの感染症の発症、悪化の予防にも関与することがわかってきています。

◆摂取のポイント
紫外線を浴びるとビタミンDが生成されますが、UV対策や夜型生活など、ライフスタイルや食生活の変化によって不足傾向が指摘されています。
「平成30年国民健康・栄養調査結果の概要」によると、1歳以上、男女計(総数6926人)、1人1日あたりのビタミンD摂取平均量は6.6μgと、成人の摂取目安量8.5μgに対して不足しており、意識して食事からも摂り入れることをおすすめします。ビタミンDは脂溶性ビタミンで、熱に強いという特徴があり、炒め物や揚げ物などの油を使う料理で摂取するとよいでしょう。食べ物にも人と同じく、紫外線に当たるとビタミンDが増加する物があるため、天日干しのものを積極的に摂るようにしましょう。