23.紫外線から目を守ろう

2023年8月28日
皮膚科医師
芳川万代

紫外線は目にも影響がある?

紫外線が皮膚のメラニン色調異常である”しみ”をつくることはよく知られていますが、紫外線を目に直接浴びた場合、以下の影響があると言われています。
①目の充血や、ひどい時には目が強く痛む等の症状が現れる「電気性眼炎」の発症
②白内障や老眼のリスクが上昇
③瞼裂斑(けんれつはん)-白目の一部がシミのように黄色く濁って盛り上がる
④翼状片(よくじょうへん)-白目が黒目の中まで侵入する状態

①は急性障害ですが、このようなダメージを繰り返していると、慢性障害(②~④)につながります。
また、2021年に日本美容皮膚科学会において、長時間、紫外線が目から入らなくなると、肌色のベースとなるメラニン色調が非常に薄くなるという発表もありました。

紫外線から目を守るには? 

サングラスは単独で使ってもいいですが、どうしても側面の隙間から紫外線が入り込みます。なるべくレンズの大きいもの、顔にフィットした形のものを選びましょう。色の濃いレンズは視界が暗くなることで瞳孔が開き、レンズと顔面の隙間から入る紫外線が目の奥に届いてしまいますので、外側から目が見えるくらい薄い色のレンズがおすすめです。また、できれば帽子もかぶるのが望ましいでしょう。帽子は「つばが大きく、顔全体を覆うことのできる物」がおすすめです。

まとめ

将来の目の病気を防ぐためにも、子どもの頃からしっかりと紫外線対策を行うことが重要です。もちろん、大人になってからの対策も重要です。大人は子どもに比べて、紫外線による酸化への抵抗力が減るため、同じ紫外線量でも子どもより強く影響を受けてしまいます。
紫外線が強い、夏の暑い日などはしっかり対策している方も多いと思いますが、目は太陽高度が低く、やや紫外線量が少ないときでも影響を受けます。天空の散乱光や地表からの反射光も合わさって目に影響を与えるので、1日中、1年中、対策が必要です。
ただし、1日2時間程度、外で過ごして太陽光を浴びることで子どもの近視が進行しづらいという研究もあるほか、紫外線は骨の健康などに有効なビタミンDを体内で作り出すためにも必要です。このため過度に恐れる必要はありませんが、有効な紫外線対策をしたうえで、適度に外で過ごす時間も持つのがいいでしょう。