24. 見えない敵、ダニ part.1

2023年9月27日
皮膚科医師
芳川万代

ダニといっても様々な種類がありますが、今回は屋内で見られるダニの種類や生態についてお話しします。

人を刺すダニは2種類!

屋内で見られるダニには主に以下の4種類があります。
① ヒョウヒダニ
② コナダニ
③ ツメダニ
④ イエダニ

このうち、人を刺すダニは③と④です。
①は気管支喘息やアトピー性皮膚炎などのアレルギー性疾患を引き起こすアレルゲン(アレルギーをひき起こす原因物質)になります。また、②は繁殖した粉製品等を調理して口にするとアナフィラキシー(蕁麻疹や呼吸困難等)を起こすことがあり、「パンケーキ症候群」と呼ばれています。特に、アレルギー性疾患の既往歴がある人に発症しやすいといわれています。

  ヒョウヒダニ コナダニ ツメダニ イエダニ
生態 ほぼ1年中見られる。大発生した際、このダニの体や死骸、糞がアレルギー性疾患の原因となる。人を刺すことはない。屋内ダニの7~9割を占める。 梅雨時、秋口に増殖する。繁殖力が極めて旺盛。人を刺すことはないが、繁殖した食品を摂取することでアナフィラキシーショックを起こすことも。 梅雨時、秋口に増殖する。他のダニ等を捕食。餌になる虫が増えると、ツメダニも増殖。吸血しないが、稀に間違って人を刺し体液を吸うことがある。 6~9月が発生の最盛期。ネズミに寄生する。宿主のネズミが死んだり、大発生した際に、移動して人も吸血。割れ目や暗い場所に潜む。通常は夜間に吸血。
主な餌 ほこり、人のフケ、アカ 食品(砂糖・味噌・乾物・小麦粉・チーズ・チョコレートなど)、医薬品 他のダニ(ヒョウヒダニ、コナダニ)、小昆虫 ネズミの血液
主な生息場所 カーペット、枕、布団、ソファー 食品、タタミ カーペット、タタミ ネズミの体・巣

小さくて見えないダニだから、ほうっておいても大丈夫だと考えるかも知れません。でも、見えないけれど、私たちの健康をむしばんでいる危険性もあるのです。