2024年5月27日
皮膚科医師
芳川万代
サプリメントは手軽に購入できることから、関心や人気も非常に高くなっている。一方、効果に対する過剰な広告がみられたり、重篤な健康被害が報告されるなどの問題もあります。
今飲んでいるそのサプリメント、本当に必要かどうか、この機会に見直してみましょう。
サプリメントとは?
サプリメントの明確な定義はなく、飲食物のうち医薬品(医薬部外品を含む)以外のもので、何か栄養素を補うことを目的としているものをサプリメントと呼んでいます。
サプリメントに関する法規制では、2001年4月より保健機能食品制度が創設され、以下の表のように分類されています。
そのサプリメント、本当に必要ですか?
サプリメントの問題点としては次のとおりです。
① 厳しい規制はなく、有効性や安全性は不明である
② 併用すると医薬品の効果の減弱・増強の可能性がある
③ 過剰摂取の可能性がある
例えば、人気の高いマルチビタミンは脂溶性ビタミン(ビタミンA・D・Eなど)を含んでおり、過剰摂取してしまう可能性があります。特に、肝臓や腎臓に疾患のある人は、高濃度の栄養素を効率的に処理できない恐れがあります。また、ビタミンB6・C、カルシウム、鉄、コエンザイムQ10などの成分も医薬品成分との効果の増強・減弱・副作用の増強を起こすと報告されています。”国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所”が、過去15年間にまとめたサプリメントによる副作用の調査では、劇症肝炎での死亡や、肝障害、急性腎不全、間質性肺炎、血液中のミネラル濃度異常などの報告があります。
サプリメントは医薬品ではなく食品だからとか、天然・自然という言葉から安全だと考えがちですが、食品に分類されていても副作用は起こりうるということを注意する必要があります。