31.そのイボは何だろう? part.1 〜脂漏性角化症について〜

2024年6月25日
皮膚科医師
芳川万代

いわゆる「イボ」と呼ばれるものは、「ウイルス性疣贅(ゆうぜい)」と「軟性繊維種(なんせいせんいしゅ)」、「脂漏性角化症(しろうせいかくかしょう)」に大きく分けられます。
今回は「脂漏性角化症」についてお話しします。

脂漏性角化症とは?

脂漏性角化症とは、写真のように少し盛り上がっている皮フの良性腫瘍です。色はごく薄い茶色〜黒褐色、大きさは数mm〜数cm大くらいまで様々です。
別名「老人性疣贅」、「老人性イボ」とも呼ばれます。”老人性”という名称がついていますが、20代でもできることがあります。主に顔、背中や胸、下着などで擦れやすい部分などにできます。

脂漏性角化症の原因は、主に下記の3つが考えられています。
① 加齢
② 遺伝
③ 紫外線

脂漏性角化症の治療

脂漏性角化症はがん化することはないと言われており、治療することは必須ではありません。
しかし、痒みや不快感がある場合、ご自身で見た目が気になる場合などは、とることをお勧めします。

治療法としては、主に以下の表にある3つがありますが、基本的には①の液体窒素療法でとることが多く、③の手術は大きいものや、他の皮膚腫瘍を疑う場合などに行います。

また、数か月で急速に体のあちこちにイボが広がり、かゆみを伴う場合は、「レーザー・トレラ徴候」と言われていて、内臓がん(特に胃がん、大腸がん)、肺がん、乳がんが隠れている可能性があります。