(14)蜂の巣

zuiki

2020年 9月 1日
理事 德田 好美




巣の中に 蜂のかぶとの 動き見ゆ高浜 虚子

もう5~6年も前になるだろうか。我が家の軒先にスズメバチが大きな巣を作ったことがある。時折大きな蜂が庭を飛んでいるので、不思議に思って目で追ってみると、家の軒下にいつの間にか立派な壺のような蜂の巣が出来あがっており、そこに蜂が群がっているのが目についた。素人目にもスズメバチだと分かり、危険なので業者に頼んで除去してもらった。改めて目の前に置かれた蜂の巣を眺めるにつけ、その見事な出来栄えに驚かされた。

zuiki14

その事件を忘れかけていた今年7月頃、今度はミツバチが巣を作っているのに気が付いた。それも3ヶ所~バラの木に1ヶ所、ツツジの木に1ヶ所、盆栽の松に1ヶ所、いずれも人の握りこぶしほどの大きさで、多数の蜂が出入りしている。迂闊にも気付かなかったが、おそらくこの春に巣作りしたのだろうか。おもだった庭木の花はすでに時期が過ぎているのだが、出入りしている蜂はいずれもせわしなく動いている。

傍で見ていても、ミツバチは人に悪さをしない。小さな六角形の部屋が無数にあり、その中を忙しそうに出入りしているのが良く見える。

本によると、巣の中の中心は1匹の女王バチで、その周りにオスバチがいる。働きバチは全てメスバチで、成虫になるとすぐに巣の掃除をし、20日くらいしてから巣の外に出て蜜や花粉を集め続けるという。私のような素人にはその分業の詳細まではよく分からないが、それぞれが絶え間なく、おのれの責務を丹念にこなしている様子はよく見てとれる。

スズメバチと違って除去するのは簡単だが、蜂三族の生活を一瞬にして壊すのはいかにも可愛そうで、3つの巣はそのままで今日に至っている。