(15)栗

zuiki

2020年11月 1日
理事 德田 好美




栗うけて たなごころこそ つややかに野沢 節子

以前柴犬を飼っていた頃、朝夕の散歩の途中に栗林があって、毎日その傍の道を、愛犬と連れ立って散策した。

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犬はあちこちの草むらや林に立ち寄りたがるが、栗林には寄ろうとしない。時たま入ることがあっても、落ちている栗のイガのため足を振りながらすぐに出てくる。その度にいつも「……大きな栗の木の下で あなたと私 仲よく遊びましょう♬……」という童謡に首をひねったのを思い出した。実際の栗林に立ちいってみると、一年の大半は栗のイガイガがあちこちに散らばっていて、子供たちの遊び場としては適切な場所ではないように思えたものだ。

それはそれとして、栗には何故あのような鋭いイガイガがあるのだろう。いろんな動物から身を守るということだろうか?それにしても、サボテンやヒイラギのように、葉にとげがある植物はいろいろあるが、あれほどのトゲを持つ植物の実を私は知らない。

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ところで、クリの仲間であるドングリには、栗のようなイガイガは一切ない。「……どんぐりころころ♬……」と転がって、むしろ動物に食べてもらうことで子孫繁栄に役立てているということを、何かで読んだことがある。同じ仲間でこれほど真逆の姿はいったい何だろう。

自然界にはいろいろな不思議があり、学者はそれぞれに何かと理屈をつけるが、不思議を不思議としてそのまま受け入れるのも、また楽しからずやである。