(18)モッコウバラ

zuiki

2021年 5月 1日
理事 德田 好美




あらたうと 青葉若葉の日の光芭蕉

コロナ禍はなかなか収まりそうにないどころか、むしろ第4波が襲来し更に猛威を振るいつつある。インドなどでは相当数の死者が出ており、医療体制がまさに崩壊の状態だという。

小生も、当然ながら、例年楽しんでいた季節の恒例行事は全て中止となり、引き続き外出を控え、ひたすら家に閉じこもらざるを得ない毎日だ。

 しかしそんな人間社会の心配事などおかまいなく、庭の草木はいつものように季節に応じて花を咲かせ、今は正に冒頭の芭蕉の句のとおり、初夏の光を浴びてつやつやと輝きを増している。

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春の花は咲き終わり、今は庭に各種のバラが咲き乱れている。中でも門前の「モッコウバラ」は他に先がけて早くから存在感を示している。
 モッコウバラはちょっと見にはバラには見えない。葉は一枝3~5枚(一葉概ね2~3センチ)の複葉である。常緑の(つる)性でバラには珍しく枝には毛もトゲもない。枝の先端に、淡い黄色の八重咲の花を3個ほどつける。はなびらの一枚一枚は一センチにも満たない楕円形である。
 各枝々の花が一斉に咲きそろった(さま)には、静かな華やかさがあるが、その花びらが、ここ数日の風に吹かれて舞いしきる(さま)もまた、えも言えぬ風情があって、勝手ながら掃かずにいつまでもその雰囲気を楽しんでいたいと思うほどである。

あれもこれも、日の光の恩恵だと思うこの頃である。