(20)鮭(サケ)

zuiki

2021年11月 1日
理事 德田 好美




初鮭や 陸にまどへる人の足宝井其角(きかく)

       

この前ラジオを聞いていたら、<鮭>は、漢字のつくり(圭)に因んで 十一月十一日がその記念日だという。筆者には初耳だったが、おそらく漁業関係者の間では常識なのだろう。そこで今月はサケのあれこれを―――

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サケは川で生まれて海で育つ。
主として北太平洋沿海域(オホーツク海、北米西岸)、日本列島では、太平洋側で利根川以北、日本海側では島根県以北に生息する。海で4~5年を過ごし、産卵の時は、海に流れ込んでいる河川のうちで、自分が生まれた川に帰って遡上するという。サケが日本の各河川に産卵のために戻ってくるのは、北海道で9月~1月、本州では10月~2月の間である。

海に居る時は銀色をしていた体色も、産卵時に河川に入る頃は、銀色のうろこが次第に黒ずみ、縦、横に紋様ができてブナ毛となる。嗅覚を頼りに、産まれた川に雌雄一対で戻り、産卵する。サケの名前はその肉片が「()けやすい」からという説や、酒に酔ったように赤いので「酒気(サカケ)」から来たという説などがあるという。

筆者のふるさと九州(福岡)辺りでは、鮭はシャケと呼び、常に塩辛く味付けしたものばかりだったので、もともとそんな物だと思い込んでいたが、今にして思えば、冷たい海水域を好むサケは九州までの輸送に時間が掛かったせいだったのだろう。

今では輸送時間もぐんと短縮されただろうが、今度は、近年の温暖化でサケそのものが消えていく心配が出てきたという。全ての生物に悪影響を及ぼす温暖化に、なんとかブレーキを掛けたいと念ずること、しきりである。