
2022年 3月 1日
理事 德田 好美
剪定の 長き枝屑いま落ちぬ阿波野青畝

コロナ禍がなかなか抜けきらない中、天気の良い日に庭のミカンの樹を剪定したりする以外は、依然として殆ど家に閉じこもる毎日が続いている
そんな中で、先月は、丁度冬のオリンピックが、中国の北京で17日間にわたって開催されたので、暇があれば各選手の熱戦の様子を観戦していた。
アルペン、ジャンプ、スピード、スノーボード、フィギュア、アイスホッケー、カーリング……等々。7競技で史上最多の109種目にわたり多勢の選手が日頃の技を競い合う姿は、冬の競技にうとい筆者もつい見入ってしまう毎日であったが、見終わったあとで、心のどこかにやや釈然としないものが残った。
まずは開会式。欧米の国々は、中国政府の新疆ウイグル族への人権侵害を理由に外交的ボイコットを表明し、開会式に政府高官を派遣しなかった。式のハイライトである聖火リレーの最終ランナーに、中国はウイグル族の女性選手を意図的に選んだが、その意図は見え透いていた。
次に、参加国――スポーツ大国であるロシアが、先の大会で組織的ドーピングを行ったとして、国としては参加できず、ROC(ロシアオリンピック委員会)の名での参加となった。本来ならばこれはあってはならない姿である。
個々の競技では、ROCカミラ・ワリエワ選手のドーピング問題や、高梨沙羅選手の着衣規定違反問題などが記憶に残る。特に後者は何か主催者側の意図的なものすら感じられて、マジか?と首をかしげざるを得なかった。

ともあれ、只今はロシアによるウクライナ侵攻の真っ最中である。全世界の平和の祭典が、単なる口先だけのものでなく、世界中の人々が真に手を取り肩を組んで、心から喜び励まし合う祭典とならんことを、切に祈るこの頃である。