(7)ハンゲショウ

zuiki

2019年 7月 1日
理事 德田 好美




朝の虹 消えて一ト雨 半夏生酒井黙禅

「ハンゲショウ」が白い花を咲かせる季節となった。
我が家の庭の一角にも、ハンゲショウが自生する場所があって、そろそろ小さな可愛い花穂をつけ始めた。ハンゲショウは、茎は7~80センチ、長卵形の葉の先端に小さくて白く可愛い花穂を付けるが、花が咲く頃にはその最先端の葉だけ、下半部が白くなる。
そのため私は、てっきり「半化粧」からその名は来ているものとばかり、思い込んでいた。

本欄を書くにあたって、改めて辞典を開いて調べてみて始めて、自分の思い込みの誤りに気が付いた。
そもそも「ハンゲ(半夏)」というのは、夏至から11日目(7月2日頃)を云い、その頃花をつけるので半夏生(ハンゲショウ)という呼び名になったようだ。
ドクダミ科の多年草で、別名「片白草」と呼ぶらしい。今まで長年にわたった勘違いを恥じるばかりだ。

201907_zuiki

そんなことを思いながらこの草を眺めていると、その不思議さに次第に魅せられていく。花穂のすぐ下の、最先端の葉1枚だけが白くなるのはどういう生理だろうか。生殖のために虫を呼ぶなど、何かの理由があるのだろうか。
植物学者たちには、何かその科学的根拠が分かっているのだろうか。
手元にある資料からは、その辺のところは何も見えてこない。これを「半化粧」と私が思いこんだのも、ムリはないのかもしれない。

植物の不思議は、別にこれに限らない。あらゆる植物のいろんなことを、気にし出せばきりがない。そこには人間の理屈を越えたものが無数にちりばめられている。学者の理屈も、ただの気休めかも知れない。